サーフフィッシングの王様とも言われるヒラメ。ハードルアーで豪快に狙うのも魅力ですが、近年主流となっているのが「ワーム」を使った攻略法です。ワームはハードルアーにはないナチュラルな動きとソフトな質感を持ち、食い渋るヒラメに対しても非常に有効な手段となります。
この記事では、ワームでヒラメを狙う際のメリットや適切な種類、ジグヘッドの選び方から具体的なアクションまで詳しく解説します。これからヒラメ釣りを始めたい初心者の方はもちろん、もっと釣果を伸ばしたい経験者の方にも役立つ情報をまとめました。ワームの特性を理解して、憧れの座布団ヒラメを目指しましょう。
ワームでヒラメを狙うメリットと基本の考え方

ヒラメをワームで狙う最大の理由は、その圧倒的な「食わせる力」にあります。金属やプラスチックで作られたハードルアーに比べて、ワームは波動が柔らかく、ヒラメが違和感を抱きにくいという特徴があります。ここでは、なぜワームがヒラメ釣りに欠かせないのか、その基本となる考え方を整理していきます。
ソフトな質感による食い込みの良さ
ワームの最大の特徴は、その柔らかなボディが生み出すナチュラルなアクションです。水流を受けて細かく振動したり、しなやかに曲がったりする動きは、本物の小魚に限りなく近い波動を発生させます。これにより、視覚と側線の両方で獲物を探すヒラメにとって、非常に魅力的なターゲットとして映ります。
また、ヒラメがワームに食いついた際、口の中で違和感を感じにくいというメリットもあります。硬いルアーであれば一度のバイトで吐き出してしまうこともありますが、ソフトな質感のワームなら、ヒラメがしっかりと深く吸い込みやすくなります。深く食い込むことでフッキング率が向上し、バラシを減らせるのがワーム釣りの強みです。
さらに、低活性時のヒラメに対しても威力を発揮します。水温の変化や先行者のプレッシャーによってヒラメの動きが鈍くなっている時、ハードルアーの強い刺激を嫌うことがあります。そのような状況下でも、ワームの優しい波動であれば口を使わせることが可能になり、ボウズ(一匹も釣れないこと)を回避する確率を高めてくれます。
コストパフォーマンスと根がかりのリスク回避
ヒラメ釣りが行われるサーフや堤防周辺には、沈み根(海底にある岩)やテトラポッド、海藻などの障害物が点在していることが多くあります。こうした場所はヒラメの格好の隠れ家となりますが、同時にルアーを紛失する「根がかり」のリスクも高まります。1個1,500円から2,000円ほどするハードルアーを失うのは精神的にも経済的にも痛手です。
一方、ワームとジグヘッドの組み合わせであれば、セットで数百円程度に抑えることができます。ロストを恐れずに攻められることで、ヒラメが潜んでいるギリギリのポイントまで果敢に探れるようになります。この「攻めの姿勢」が、最終的な釣果に大きな差を生む要因となります。根がかりを恐れてポイントを避けていては、なかなかヒラメに出会うことはできません。
また、ワームはフックポイント(針先)を隠しやすい形状のものもあり、障害物回避能力に優れている点も見逃せません。ジグヘッドの種類を工夫することで、複雑な地形の変化を丁寧に探ることが可能になります。高価なルアーを温存しつつ、効率よく広範囲をサーチできるワームは、アングラーにとって非常に心強い武器と言えるでしょう。
スローな誘いが可能になる強み
ワームはハードルアーと比較して、非常にゆっくりとしたスピードで動かせる(デッドスロー)という利点があります。ヒラメは海底に腹をつけて獲物を待ち伏せする魚です。素早く通り過ぎるルアーを追うこともありますが、基本的には目の前をゆっくりと通るものに対して反応しやすく、特に活性が低い時はその傾向が顕著になります。
ワームであれば、軽量なジグヘッドと組み合わせることで、底付近をフワフワと漂わせるような誘いが可能です。この「滞空時間の長さ」が、ヒラメにルアーを見せる時間を増やし、バイトのチャンスを広げます。シンキングペンシルやメタルジグではすぐに沈んでしまうような浅い場所でも、ワームならじっくりとアピールし続けることができます。
特に冬場などの水温が低い時期は、ヒラメの代謝が落ちて動きが鈍くなります。こうした場面では、早く動くルアーには見向きもしないことがありますが、スローに動くワームであれば、重い腰を上げて捕食行動に移ってくれることが多いのです。季節や海の状況に合わせて誘いのスピードを自在に変えられるのは、ワームフィッシングの醍醐味です。
状況に合わせたカラーローテーションの容易さ
ヒラメ釣りにおいて、ルアーのカラー選択は釣果を左右する重要な要素です。ワームはパッケージに複数本入っていることが多く、状況の変化に合わせてカラーを頻繁に変更することが容易です。水の透明度、日差しの強さ、ベイト(餌となる小魚)の種類に合わせて、最適な色を素早く選択できる機動力があります。
例えば、朝まずめや濁りがある時は視認性の高い「ピンク」や「ゴールド」を選択し、日中や水が澄んでいる時はナチュラルな「シルバー」や「クリア系」に切り替えるといった使い分けがスムーズに行えます。ワーム本体を差し替えるだけで済むため、ルアーごと付け替える手間が省け、地合い(魚が釣れやすい時間帯)を逃さずに釣りを続けられます。
また、ワームの中にはラメ(フラッシング効果)が入っているものや、夜光(グロー)素材を採用しているものもあり、視覚的なアピール力を細かく調整できます。
カラー選びの基本は「目立たせること」と「馴染ませること」の両立です。まずは派手な色で魚の有無を確認し、反応がなければ徐々に地味な色に落としていくのがセオリーとされています。
このように、ワームは色の選択肢が豊富であるため、その日の「当たりカラー」を見つける楽しみも広がります。
ヒラメ釣りに適したワームの種類と使い分け

ヒラメ用のワームには、形状によっていくつかのタイプに分けられます。それぞれの形状には得意な動きや適したシチュエーションがあり、これらを理解して使い分けることが釣果への近道です。ここでは、代表的なワームの種類とその特徴について詳しく見ていきましょう。
万能なシャッドテールタイプ
ヒラメ釣りで最もポピュラーかつ実績が高いのが「シャッドテール」タイプです。テール(尾びれ)の部分が団扇のような形をしており、水を受けることで左右に激しく振れるアクションを発生させます。この振動がボディ全体に伝わり、小魚が力強く泳ぐ様子をリアルに再現します。
シャッドテールの強みは、その波動の強さです。広いサーフの中からヒラメにルアーの存在を気づかせる必要がある場合、この強い波動が大きな武器になります。「まずは一匹釣りたい」という初心者の方には、迷わずこのタイプをおすすめします。ただ巻き(リールを一定の速度で巻くこと)だけで十分にヒラメを誘えるため、特別なテクニックがなくても扱いやすいのが魅力です。
また、シャッドテールは飛距離が出やすい形状のものも多く開発されており、沖のポイントを狙う際にも重宝します。サイズ展開も豊富で、4インチから5インチ程度がヒラメ釣りの標準的な大きさとなります。状況を選ばず使える万能選手として、必ずタックルボックスに忍ばせておきたい種類です。
アピール力重視のグラブタイプ
グラブタイプは、C字型や鎌のような形をした大きなテールが特徴的なワームです。リールを巻くとこのテールがヒラヒラと大きく波打ち、シャッドテールとは異なる複雑な水流を作り出します。泳いでいる時だけでなく、ルアーを止めて沈ませている時(フォール中)にもテールが動き続けるため、常に魚を誘い続けることができます。
このタイプの利点は、低速でもしっかりと動いてくれることです。シャッドテールでは動きが止まってしまうような超スローなリトリーブでも、グラブのテールは繊細に動き、ヒラメを誘惑します。また、シルエットが大きく見えるため、濁りが強い日や光量の少ないマズメ時において、視覚的なアピール力を高めたい場合に非常に有効です。
ただし、テールの抵抗が大きいため、シャッドテールに比べると飛距離が落ちやすいという欠点もあります。そのため、近距離のポイントを丁寧に探る際や、風が弱く遠投の必要がない状況で真価を発揮します。ヒラメが底に張り付いて動かないようなタフなコンディションで、じっくりと見せて食わせたい時に選んでみてください。
食わせに特化したピンテール・ストレートタイプ
ピンテールやストレートタイプは、テール部分が細長く、過度な動きを抑えた設計のワームです。シャッドテールやグラブのように自ら強い波動を出すことはありませんが、ロッド操作によって微細な振動を発生させたり、スッと逃げるようなアクションを演出したりするのが得意です。この「控えめな動き」が、警戒心の強いヒラメや、スレた(ルアーに慣れた)魚に対して非常に効果的です。
ベイトフィッシュが非常に小さい場合や、水が非常にクリアでルアーが完全に見切られてしまうような状況では、ピンテールの出番です。余計なプレッシャーを与えず、自然にヒラメの目の前を通すことができるため、最終的な「食わせ」の切り札として機能します。波動が弱い分、ヒラメに気づかせるためにはポイントを正確に狙い撃つ必要がありますが、ハマった時の爆発力は随一です。
また、空気抵抗が非常に少ないため、遠投性能に優れている点もメリットです。向かい風が強い状況や、どうしても遠くのブレイク(地形の落ち込み)まで届けたい時に、重めのジグヘッドと組み合わせて使用されます。派手な動きに反応しない時の次の一手として用意しておくと、釣りの幅が大きく広がります。
状況に応じたワームサイズの選択
ワームの形状だけでなく、サイズの選択も釣果に直結します。ヒラメ釣りでは一般的に4インチから5インチ(約10cm〜12.5cm)が標準サイズとされていますが、その日のベイトの大きさに合わせることが基本です。例えば、シラスなどの極小のベイトを食べている時は3インチにサイズダウンし、大きなコノシロなどを追っている時は6インチ以上のビッグワームを選択するのが効果的です。
サイズを大きくすると、アピール力が増すだけでなく、水流抵抗が増えるためによりスローに引くことができるようになります。逆にサイズを小さくすると、飛距離が伸び、よりナチュラルな誘いが可能になります。その場の状況を見て、魚の反応が得られない場合はサイズを変更してみるのも一つの手です。
ワームの色とサイズを組み合わせることで、無限に近いパターンを作ることができます。現場での直感を信じつつも、セオリーに基づいた使い分けを意識してみましょう。
ジグヘッドの重さと形状の選び方

ワームをヒラメ釣りに使う際、セットで欠かせないのがジグヘッドです。フック(針)とオモリが一体化したこの道具は、ワームの動きや飛距離、そしてレンジ(泳がせる深さ)を決定づける非常に重要なパーツです。適切なジグヘッドを選ぶことが、ワームの性能を最大限に引き出すための絶対条件となります。
水深や潮流に合わせた重さの基準
ジグヘッドの重さを選ぶ際の基準は、「底が取れるかどうか」です。ヒラメは海底付近にいる魚なので、ルアーが確実に底に届かなければ釣れる確率は激減します。一般的なサーフであれば、14gから28g程度の重さを状況に合わせて使い分けるのが基本です。まずは21g前後のジグヘッドを基準に据えると良いでしょう。
水深が浅い場所や風が弱い時は14g程度の軽いものを選び、ゆっくりとふわふわ動かします。逆に水深が深かったり、潮流が速くてルアーが流されてしまう時、あるいは強風で飛距離が出ない時は28gやそれ以上の重いものを使用します。重すぎるとワームが不自然に動き、軽すぎると底を感じられなくなるため、常に「底をギリギリ感じられる重さ」を探すことが重要です。
以下の表は、一般的な状況における重さの目安をまとめたものです。あくまで目安ですので、当日の海の状況を見て微調整してください。
| 水深・状況 | おすすめの重さ | 特徴 |
|---|---|---|
| 水深1〜3m(浅場) | 14g 〜 18g | スローに誘える。根がかりが少ない。 |
| 水深3〜5m(標準) | 21g 〜 24g | 飛距離と操作性のバランスが良い。 |
| 深場・強風・激流 | 28g 〜 32g | 底取りが確実。遠くのポイントを狙える。 |
泳ぎを安定させるジグヘッドの形状
ジグヘッドのヘッド部分の形状には、丸型、矢尻型、フラット型など様々なものがあります。ヒラメ釣りでよく使われるのは、スイミング(泳がせ)性能に優れた形状のものです。前方からの水流を適度にいなしつつ、ワームが左右に倒れすぎないように安定させる設計のものが選ばれます。
例えば、底が平らになっているフラット型のジグヘッドは、着底した際に横倒れしにくく、根がかりを軽減する効果があります。また、水を受ける面が広いタイプは、引き抵抗が手元に伝わりやすいため、ルアーが今どこを泳いでいるのかを把握しやすくなります。
自分のよく行く釣り場が、遠投が必要な広いサーフなのか、あるいは足元から水深がある堤防なのかによって、ヘッドの形状を使い分けるのが賢明です。泳ぎを重視するなら「矢尻型」、安定性と根がかり回避を重視するなら「フラット型」を選ぶと失敗が少ないでしょう。
フックの大きさとアシストフックの必要性
ヒラメは「食うのが下手な魚」とも言われます。下から突き上げるようにバイトしてきたり、反転しながら食いついたりするため、フッキング(針掛かり)させるのが難しいのが特徴です。そのため、メインのフックだけでなく、ワームの腹部や後方に「アシストフック(トレブルフック)」を追加するのが現在の主流となっています。
ジグヘッド単体のフックだけでは、ワームの後ろをかじられた際や、甘い噛みつきの時に針に掛からないことが多々あります。アシストフックを装着することで、どの角度からヒラメが襲ってきても、高い確率で針を口に掛けることが可能になります。市販されているヒラメ専用ジグヘッドの多くは、最初からアシストフックが装着できるアイ(輪っか)が備わっています。
ただし、フックが増えるほど根がかりのリスクも高まります。底が岩場や海藻帯の場合は、あえてアシストフックを外してシングルフックのみで攻める判断も必要です。砂地の綺麗なサーフであれば、アシストフックをフル装備して、貴重なバイトを確実にものにしましょう。フックの鋭さは常に確認し、少しでも鈍くなったら交換することも忘れないでください。
ワームがずれにくいセットのコツ
ジグヘッドにワームをセットする際、最も重要なのは「真っ直ぐに刺すこと」です。ワームが曲がって付いていると、水中で回転してしまったり、斜めに泳いでしまったりして、ヒラメに不自然な印象を与えてしまいます。真っ直ぐセットされたワームは綺麗なアクションを生み、余計な糸ヨレも防いでくれます。
また、ヒラメの強いバイトやフルキャストの衝撃で、ワームがジグヘッドからずれてしまうことがよくあります。これを防ぐために、ワームキーパー(ずれ防止の突起)がしっかりしているジグヘッドを選ぶか、瞬間接着剤を少量つけて固定するのがテクニックの一つです。ワームが一度ずれてしまうと、そのキャストは無駄になってしまうため、しっかりと固定することが効率的な釣りに繋がります。
セットする際は、フックを抜く位置にあらかじめ印を付けておくと綺麗に刺しやすくなります。
ワームの背中側の中心線を意識して、針先を丁寧に通していきましょう。不器用な方は、最初からワームとジグヘッドがセットされた状態で販売されている製品を利用するのも良い方法です。
万全の状態の仕掛けで挑むことが、自信を持って投げ続けるための秘訣です。
ヒラメを釣るための基本的なアクションと誘い方

ワームとジグヘッドの準備ができたら、次は具体的なアクション方法をマスターしましょう。ヒラメ釣りにおけるアクションは、大きく分けていくつかの基本パターンがあります。その日のヒラメの活性に合わせて、これらのアクションを組み合わせながらアプローチしていきます。
基本中の基本「ただ巻き」のコツ
ワームでヒラメを狙う際、最も基本でありながら最も釣れるのが「ただ巻き」です。リールを一定の速度で巻くだけのシンプルな動作ですが、これが一番ナチュラルにベイトフィッシュの泳ぎを再現できます。ポイントは、「底から30cm〜1m以内のレンジ」をキープしながら巻くことです。
ヒラメは上方向を見ている魚なので、自分の目線を通り過ぎる獲物に強く反応します。しかし、底から離れすぎてしまうとヒラメの視界に入らなくなったり、追うのを諦めてしまったりします。リールを巻く速度を調整して、時々底に当たるか当たらないかくらいの絶妙な高さを維持することを意識しましょう。これを「ボトムトレース」と呼びます。
巻く速度は、一般的には「1秒間にハンドル1回転」が目安ですが、波が強い時は早めに、凪の時は遅めに調整します。ワームがしっかり動いている感触をロッドの先で感じ取れる程度の速度が理想です。余計な小細工はせず、信じて一定に巻き続けることが、安定した釣果を出すための最短ルートです。
底を意識した「リフト&フォール」
ただ巻きで反応がない時や、ヒラメの活性が低い時に有効なのが「リフト&フォール」です。ロッドを上に向けてルアーを持ち上げ(リフト)、その後竿先を下げてルアーを沈ませる(フォール)動作を繰り返します。この上下の動きが、弱って底を這うような小魚の動きを演出し、ヒラメの食い気を誘います。
バイトが最も集中するのは、ルアーが沈んでいく「フォール中」です。ヒラメは落ちてくるものに対して反射的に口を使う習性があるため、フォール時はラインを張り気味にして、アタリを逃さないように集中しましょう。コンッという小さな感触や、ラインが急に止まるような変化があれば、それがヒラメからのサインです。
リフトの高さは50cmから1m程度で十分です。あまり大きく上げすぎるとルアーがヒラメの視界から消えてしまうため、小刻みに誘うのがコツです。また、着底した瞬間に砂煙を上げることでヒラメに気づかせる効果もあります。移動距離を抑えつつ、同じポイントをじっくり攻めたい時に非常に強力なテクニックとなります。
活性が低い時に有効な「ストップ&ゴー」
ストップ&ゴーは、ただ巻きの途中でリールを巻く手を止め、ルアーを着底させるアクションです。数回転巻いては止める、を繰り返します。ただ巻きの横の動きに、着底という「静」の動きを混ぜることで、追ってきたヒラメに食いつくタイミング(間)を与えます。
特にワームは、着底してからもテールがわずかに揺れたり、水流でなびいたりするため、止めている間も魚を誘い続けることができます。
巻く回数は3回〜5回程度、止める時間は1秒〜2秒程度が一般的です。
このアクションのメリットは、常に底の位置を確認できる点にもあります。起伏の激しい地形を攻める際、定期的にストップを入れることで、ルアーが底から離れすぎるのを防ぎ、適切なレンジをキープしやすくなります。初心者の方でもレンジ管理がしやすくなるため、ぜひ取り入れてほしいアクションの一つです。
変化を付ける「ボトムバンプ」
ボトムバンプは、底を叩く(バンプ)ようにルアーを跳ねさせるアクションです。リフト&フォールよりもさらに小さく、鋭くロッドを操作して、ルアーを海底でピョンピョンと跳ねさせます。砂地に潜むカニやエビ、あるいは底に張り付いているハゼなどの動きを模写するイメージです。
このアクションは、ヒラメの目の前をピンポイントで攻めるのに適しています。広範囲を探るのには向きませんが、ここぞという地形の変化がある場所でしつこく誘う際に真価を発揮します。ワームを跳ねさせた後の「着底直後」にバイトが集中することが多いため、一瞬たりとも気が抜けません。
砂煙を派手に上げることで遠くのヒラメにアピールし、近づいてきたヒラメにワームのナチュラルな質感で見せつけて食わせる、という二段構えの誘いが可能です。他のアクションで反応がない時、刺激を変える意味でも試す価値のあるテクニックです。
釣り場の選び方と釣果を伸ばすポイント

どれほど優れたワームを使い、完璧なアクションを行っていても、そこにヒラメがいなければ釣ることはできません。ヒラメ釣りで最も重要と言っても過言ではないのが「場所選び(ポイント選定)」です。広大な海の中で、ヒラメが好む場所をいかに見つけるかが勝負の分かれ目となります。
離岸流(カレント)を見つける重要性
サーフでヒラメを狙う際の「一等星」とも呼べるポイントが離岸流(カレント)です。岸に向かって打ち寄せた波が、一箇所に集まって沖へと戻っていく強い流れのことを指します。離岸流が発生している場所は海底が掘れて深くなっており、さらにプランクトンが集まりやすいため、それを餌にする小魚(ベイト)が集結します。
ヒラメはこの流れの周辺で、楽に流されてくるベイトを待ち伏せしています。離岸流を見つけたら、その中だけでなく左右の「流れの縁」もしっかり狙うのがコツです。離岸流の見極め方は、波がそこだけ白く砕けていなかったり、ゴミが集まっていたり、海面がザワついていたりする変化を探します。
一度離岸流を見つけたら、粘り強く攻める価値があります。潮の満ち引きによって流れの強さは変わりますが、地形自体が深くなっているため、魚が居着きやすいからです。ワームを流れに乗せて漂わせるように動かすことで、非常にナチュラルな演出が可能になり、ヒット率が格段に上がります。
かけ上がりやシモリなどの地形変化
ヒラメは変化を好む魚です。真っ平らな砂地よりも、何かしらの凹凸がある場所に身を隠します。その代表的なものが「かけ上がり」です。波打ち際から急に深くなっている段差のような場所で、ここにはベイトが追い詰められやすく、ヒラメにとっての捕食スポットとなります。
また、砂地に混じって岩が露出している場所(シモリ)や、海藻が生えているエリアも有望です。こうした障害物は小魚の隠れ家になるため、それを狙うヒラメも自然と集まってきます。ワームであれば、こうした根の周りをタイトに攻めてもロストのリスクが低いため、積極的に狙っていくべきです。
目に見える変化がない場合でも、ルアーを引いてきた時に「重くなる場所」があれば、そこには目に見えない地形の変化や水流のぶつかり合いが存在します。そうした「違和感」を感じ取れるようになると、ヒラメとの遭遇率は一気に高まります。地形の些細な変化を見逃さない観察力が重要です。
朝まずめ・夕まずめのタイミング
魚釣り全般に言えることですが、ヒラメ釣りにおいても「朝まずめ」と「夕まずめ」は最大のチャンスタイムです。日の出や日の入りの前後の時間帯は、ヒラメの活性が急激に上がり、深場から岸近くの浅場へと餌を求めて差してきます。この時間帯はヒラメの警戒心も薄れ、大きなワームにも果敢にアタックしてきます。
マズメ時は光量が変化するため、ヒラメの視覚が刺激されやすいタイミングでもあります。ここでは、アピール力の高いゴールド系やピンク系のワームを使い、広範囲に存在を知らせる釣りが効果的です。
「マズメを制する者はヒラメを制する」と言われるほど、この数時間の重要性は高く、昼間は全く反応がなかった場所でも、マズメになった途端に連発することも珍しくありません。
早起きは大変ですが、チャンスを最大限に活かすなら、明るくなる前からポイントに入り、キャストを開始することをおすすめします。夕まずめも同様に、太陽が沈み始めるタイミングから集中力を高めましょう。この時間帯に釣りができるかどうかで、その日の釣果がゼロか一か、大きく変わることが多々あります。
ベイトフィンの存在を確認する
ヒラメは餌となるベイトフィッシュがいなければ、その場に留まりません。釣り場に着いたら、まずは海面を観察してベイトの気配があるかを確認しましょう。小魚が跳ねていたり(ボイル)、鳥が海面を狙って集まっていたり(鳥山)すれば、そこには必ずフィッシュイーターであるヒラメが潜んでいます。
代表的なベイトはイワシ、アジ、シロギス、ボラの幼魚などです。こうした魚が岸に寄っている時は、ヒラメも驚くほど浅い場所まで入ってきます。波打ち際から数メートルの場所でヒットすることもあるため、最後まで気を抜かずにワームを引いてくることが大切です。
ベイトの種類が分かれば、ワームのサイズやカラーをそれに合わせる「マッチ・ザ・ベイト」を意識しましょう。ベイトの群れの中にワームを紛れ込ませることで、違和感なく食わせることができます。
ワームでヒラメを攻略するためのポイントまとめ
ワームを使ったヒラメ釣りは、その手軽さと圧倒的な実釣性能から、多くのアングラーに支持されています。ハードルアーで反応がない時でも、ワームならではのナチュラルな波動とスローな誘いが、底に潜むヒラメの捕食スイッチを優しく、かつ確実に押してくれます。
攻略のポイントは、まず状況に合わせたワームの種類とジグヘッドの重さを正しく選ぶことです。そして、離岸流やかけ上がりといった地形の変化を丁寧に見極め、ヒラメの目の前を通す意識を持つことが大切です。基本のアクションである「ただ巻き」を軸に、時折「リフト&フォール」や「ストップ&ゴー」を織り交ぜて、その日の当たりパターンを見つけ出しましょう。
ヒラメは一度そのコツを掴めば、決して手の届かない魚ではありません。ワームという武器を最大限に活用し、広大なフィールドから価値ある一匹を導き出してください。ソフトルアーだからこそ可能な繊細なアプローチが、あなたの釣果を劇的に変えてくれるはずです。安全に気を配りながら、ワームでのヒラメ釣りを存分に楽しみましょう。


