ショアジギングを始めようと思った時、リールやロッドと同じくらい悩むのがライン選びではないでしょうか。特に「ショアジギングでPEは何号を使えばいいのか」という疑問は、初心者から中級者まで多くの人が直面する課題です。狙う魚の大きさに対してラインが細すぎれば、せっかくの大物を逃してしまいます。逆に太すぎると、ルアーの飛距離が落ちて魚のいるポイントまで届かないというジレンマに陥ります。
この釣りは、広大な海に向かってメタルジグを遠投し、力強くシャクり続けるエネルギッシュなスタイルです。そのため、ラインには強さと操作性の両方が求められます。この記事では、ショアジギングで使うPEラインの号数選びについて、ターゲットとなる魚種や釣り場の状況に合わせた最適な基準をやさしく解説します。この記事を読めば、自信を持ってラインを選べるようになるはずです。
1. ショアジギングでPE何号を選ぶべき?基本となる考え方

ショアジギングにおいてPEラインの号数選びは、釣果を左右する非常に重要な要素です。PEラインとは、ポリエチレン素材の細い糸を複数本編み込んで作られたラインのことで、伸びが少なく感度が非常に高いのが特徴です。まずは、なぜ号数選びがこれほどまでに大切なのか、その基本的な考え方から紐解いていきましょう。
飛距離と強度のバランスが最大のポイント
ショアジギングで最も意識すべきなのは、「飛距離」と「直線強度」のバランスです。PEラインは号数が小さくなる(細くなる)ほど、キャストした際の空気抵抗やガイドとの摩擦が減り、飛距離が大幅にアップします。ショアジギングでは、魚がいるナブラ(魚が小魚を追い回して海面が沸き立つ状態)までルアーを届かせることが必須条件となるため、細いラインは大きな武器になります。
一方で、号数を落としすぎると、魚が掛かった際の強度が不足してしまいます。特に青物は強烈なパワーで走り回るため、ラインに瞬間的な負荷がかかります。細いラインでは、合わせを入れた瞬間や魚の突っ込みに耐えられず、ラインブレイク(糸が切れること)を招く恐れがあります。自分の狙うターゲットがどれくらいのサイズで、どれほどのパワーがあるのかを想定して選ぶのが基本です。
また、風や潮の影響も無視できません。ラインが太いと風に流されやすくなり、ルアーの操作感が鈍くなってしまいます。逆に細すぎると、予期せぬ大物が来た時に対応できません。この「遠くへ飛ばしたい」という欲求と「確実に釣り上げたい」という安心感の、ちょうど良い接点を見つけることが号数選びの真髄といえるでしょう。
初心者におすすめなのはPE1.2号から1.5号
これからショアジギングに挑戦するという初心者の方に、まずおすすめしたい基準の号数はPE1.2号または1.5号です。このクラスの太さは、多くの釣り場でメインとなる中型までの青物に対応できる十分な強度を持ちつつ、初心者でも扱いやすい適度なコシがあるからです。あまりに細いラインは、ノット(結び目)の作成に慣れていないと、結束部分から切れやすくなるというリスクもあります。
PE1.5号であれば、直線強度は20ポンド(約9kg)から25ポンド(約11kg)程度あります。これだけの強度があれば、40cmから60cm程度のイナダやサゴシといった魚なら余裕を持ってやり取りが可能です。また、不意に大きなサイズがヒットしても、リールのドラグ機能を適切に使えばキャッチできる可能性が十分にあります。操作性と安心感のバランスが最も優れているのがこの範囲です。
もし、比較的足場の良い堤防などで、飛距離をもう少し稼ぎたいと感じるなら1.2号を選んでみてください。逆に、根(海底の岩場)が荒い場所や、最初から大型が混じる可能性がある場所なら1.5号、あるいは2.0号を検討すると良いでしょう。まずはこの1.2号から1.5号を基準にして、自分の通うフィールドに合わせて微調整していくのが失敗しないコツです。
号数が太すぎることによるデメリットを知る
「切れるのが怖いから、とにかく太いPEラインを巻いておけば安心だ」と考える方もいるかもしれませんが、実は太すぎるラインには明確なデメリットが存在します。まず最大の欠点は、飛距離が極端に落ちることです。太いラインはそれだけ重さがあり、空気抵抗も大きくなります。40g程度のジグを投げる際、1.5号と3号では飛距離に10メートル以上の差が出ることも珍しくありません。
次に問題となるのが、風や潮の抵抗です。海風が強い日や潮の流れが速い場所では、太いラインだと糸が大きくふけてしまい、ルアーがどこにあるのか分からなくなったり、底を取る(着底を確認する)のが難しくなったりします。ルアーが自然な動きをしなくなり、魚に見切られてしまう原因にも繋がります。糸が太いことで水中の抵抗が増し、ジグを動かす際にも余計な力が必要になり、疲れやすくなるという弊害もあります。
さらに、リールの糸巻き量の問題もあります。太いラインを巻くと、スプールに巻ける長さが短くなります。ショアジギングでは最低でも200メートル、できれば300メートルの糸を巻いておくことが推奨されます。太すぎるラインを選んでしまうと、必要な長さを確保できず、遠投した先で魚が掛かった際にラインが足りなくなるリスクも考慮しなければなりません。
2. ターゲットや釣り場の状況に合わせた号数の目安

ショアジギングといっても、狙う魚種や場所によって必要なライン強度は全く異なります。近所の堤防で小魚を狙うのか、それとも荒磯で10kgクラスの巨物を追いかけるのかでは、装備が全く別物になるからです。ここでは、一般的なターゲット別に、推奨されるPEラインの号数を具体的に見ていきましょう。
【ターゲット別・PEライン号数早見表】
| カテゴリー | ターゲット | 推奨PE号数 |
|---|---|---|
| スーパーライト | アジ、サバ、カマス | 0.4号〜0.8号 |
| ライトショアジギ | サゴシ、イナダ、タチウオ | 0.8号〜1.2号 |
| ショアジギング | ワラサ、ブリ、カンパチ | 1.5号〜2.5号 |
| ロックショア | ヒラマサ、大型ブリ | 3.0号〜5.0号以上 |
サゴシ・イナダ狙いのライトショアジギング(0.8号〜1.2号)
近年大人気の「ライトショアジギング(LSJ)」では、主に30gから40g程度のメタルジグを使用します。ターゲットは40cm前後のサゴシ(サワラの幼魚)やイナダ(ブリの幼魚)がメインです。このクラスを狙う場合、最適なPEラインは0.8号から1.2号となります。この細さであれば、軽量なジグでも驚くほどの飛距離を出すことができ、広範囲を効率よく探ることが可能です。
特に0.8号という号数は、飛距離を最優先したい場面で非常に強力です。堤防などで魚の群れが遠い時、他のアングラーが届かないポイントまでジグを送り込めるのは大きなアドバンテージになります。ただし、サゴシは鋭い歯を持っているため、PEライン自体というよりはリーダーの選択に気をつける必要があります。強度的には0.8号でも十分ですが、不意のライントラブルを減らし、安定して使いこなしたいのであれば1.0号を選んでおくと安心です。
1.2号になると、少しサイズアップしたワラサクラスが混じっても十分に対峙できる強さが備わります。サーフ(砂浜)での釣りにおいても、波打ち際での抵抗を考慮すると1.2号程度あると非常に心強いです。ライトなタックルで軽快に釣りを楽しみたい、かつ飛距離も妥協したくないというスタイルには、この0.8号から1.2号の範囲がベストマッチと言えます。
堤防やサーフでの中型青物狙い(1.2号〜2.0号)
本格的な青物の回遊を待つショアジギングでは、60cmを超えるワラサ(メジロ)やカンパチの中型サイズがターゲットになります。こうした魚は走るスピードが速く、根に潜ろうとする力も強いため、ラインにはしっかりとした強度が求められます。この場合の標準的な選択は1.2号から2.0号になります。特に多くのシチュエーションで汎用性が高いのは1.5号です。
1.5号は「これ一本あれば大抵の場所で通用する」と言われるほどバランスに長けています。十分な飛距離を確保しつつ、5kgクラスの魚が掛かってもドラグを駆使すれば確実に寄せることが可能です。サーフから狙う場合は障害物が少ないため、1.2号や1.5号で飛距離を稼ぐのが有利に働きます。波の抵抗や引き波の中で魚をコントロールする際にも、このクラスの強度が頼りになります。
もし、釣り場が混雑している堤防などで、魚を走らせすぎて周りの人とオマツリ(糸が絡むこと)を避けたい場合は、少し太めの2.0号を選択するのも手です。ラインが太ければ、より強引に魚を寄せてくることができ、ランディング(魚を陸に上げること)までの時間を短縮できます。自分のテクニックや、釣り場の混雑状況に合わせて、1.5号を軸に前後を調整してみましょう。
磯からの大型青物やブリ狙い(2.0号〜3.0号以上)
地磯や沖磯といった、海面下に鋭い岩が点在する過酷なフィールドで大型を狙う場合は、装備を一気に強化する必要があります。ターゲットは80cmを超えるブリや、強烈な引きで知られるヒラマサです。こうした場所では、魚に根に潜られた瞬間にラインが岩に擦れて切れてしまいます。そのため、PEラインも2.0号から3.0号、時にはそれ以上の太さが選ばれます。
磯での釣りにおいて2.0号は最低ラインと考えた方が良いでしょう。大型魚の強烈な突っ込みを止めるためには、ドラグを締め込んで真っ向勝負をする必要があります。3.0号になれば直線強度は40ポンド(約18kg)以上に達し、かなり強気なファイトが可能になります。飛距離は多少犠牲になりますが、磯場では「掛けても獲れない」という事態を避けることが何よりも優先されます。
さらに本格的な「ロックショア」の世界では、4号や5号といった太糸を使うことも珍しくありません。これは単純な引張強度だけでなく、多少の擦れに対しても物理的な太さで耐えるためという意味合いも含まれます。初心者の方がいきなりこうした過酷なフィールドに行くことは少ないかもしれませんが、大型青物を夢見るなら、2.0号から3.0号というラインの存在を覚えておきましょう。
3. PEラインの性能を引き出すリーダーの選び方

PEラインは引っ張る力には非常に強い反面、傷や熱に弱いという弱点があります。その弱点を補うために、PEラインの先端に結びつけるのが「ショックリーダー」です。ショアジギングにおいて、PE何号を使うか決めるのと同時に、どの太さのリーダーを合わせるかは極めて重要なパズルとなります。
リーダーの役割は、魚の急激な引きに対するクッション、岩や魚の体表との擦れ対策、そしてPEラインを直接結ぶことによる強度低下を防ぐことにあります。
フロロカーボンとナイロンの使い分け
ショックリーダーには主に「フロロカーボン」と「ナイロン」の2種類があります。ショアジギングで最も一般的に使われるのはフロロカーボンです。この素材は硬くて伸びが少なく、何より「耐摩耗性(擦れに対する強さ)」に優れています。海底の岩や消波ブロックに擦れる可能性が高いショアジギングでは、この擦れへの強さが最大のメリットになります。また、比重が重いため、ルアーを沈めやすいという特徴もあります。
一方のナイロンリーダーは、しなやかで伸びがあるのが特徴です。この「伸び」がクッションの役割を果たし、魚の急な反転による衝撃を吸収してくれます。また、糸自体が柔らかいため、ノットが組みやすく、太い号数でもルアーが自然に動きやすいという利点があります。トップウォータープラグ(海面で動かすルアー)をメインに使う場合は、水に浮きやすく操作性の良いナイロンが選ばれることもあります。
基本的には、まずはフロロカーボンを選んでおけば間違いありません。特に根の荒い場所や底付近を重点的に狙う釣りでは、フロロカーボンの安心感は絶大です。もし、プラグの操作感を重視したり、バラシ(掛かった魚を逃すこと)を軽減したいと感じたりするようになったら、ナイロンを試してみるというステップアップが良いでしょう。
PEラインの号数に合わせたリーダーの太さ
リーダーの太さを選ぶ際は、PEラインの強度(ポンド数)に合わせるのが基本ルールです。一般的には、PEラインの直線強度とほぼ同じか、少し強めのリーダーを組み合わせます。例えば、PE1.5号(約25ポンド)を使用する場合、リーダーは25ポンドから30ポンド程度を選ぶのがバランスの良いセッティングです。
具体的に号数で表すと、以下のような組み合わせが目安となります。PE1.0号にはリーダー20ポンド(5号前後)、PE1.5号にはリーダー30ポンド(8号前後)、PE2.0号にはリーダー40ポンド(10号前後)といった具合です。このバランスが崩れてリーダーが極端に太すぎると、結び目が大きくなりすぎてガイドに干渉し、飛距離が落ちたりライントラブルの原因になったりします。
逆にリーダーが細すぎると、PEラインの強さを活かしきれず、リーダーの部分から簡単に切れてしまいます。基本的には「PEの号数×4〜5」という数値をリーダーの号数の目安にすると分かりやすいでしょう(例:PE1.5号なら、1.5×4=6号、あるいは1.5×5=7.5号付近)。釣り場の環境に合わせて、根ズレが多い場所ならワンランク太くするなど調整してみましょう。
結束ノット(FGノット)の重要性
PEラインとリーダーを繋ぐ方法はいくつかありますが、ショアジギングで最も推奨されるのが「FGノット」です。このノットは、リーダーに対してPEラインを密に編み込むことで固定する方法で、結び目が非常に小さく、かつ強度が非常に高いのが特徴です。結び目がコンパクトなため、キャスト時にガイドをスムーズに通り、飛距離への影響を最小限に抑えられます。
初心者の頃はFGノットを習得するのに苦労するかもしれませんが、これをマスターせずにショアジギングを成立させるのは難しいと言っても過言ではありません。電車結びなどの簡単なノットでは、PEラインの滑りの良さが仇となり、大きな負荷がかかった時にスッポ抜けてしまう可能性が高いからです。強烈な引きを見せる青物を相手にする以上、結び目は最も信頼できるものでなければなりません。
最近では、ノットを簡単に組むための補助ツール(ノットアシスト)なども市販されています。こうした道具を頼るのも一つの賢い選択です。自宅で練習を重ね、釣行中に万が一ラインが切れても、現場で素早く確実にFGノットが組めるように準備しておきましょう。ノットの完成度が、そのままキャッチできる魚の数に直結します。
4. 「4本編み」と「8本編み」ショアジギングに向くのはどっち?

PEラインのパッケージを見ると「4本編み(4braid)」や「8本編み(8braid)」といった表記があることに気づくはずです。これは、PEの極細繊維を何本で編み上げているかを示しています。どちらも一長一短があり、ショアジギングにおける使い分けには明確な基準があります。それぞれの特性を理解して、自分に合ったものを選びましょう。
擦れに強くリーズナブルな4本編みの特徴
4本編みのPEラインは、8本編みに比べて一本あたりの繊維が太いのが最大の特徴です。そのため、根ズレや魚の体表との接触に対する「耐摩耗性」が比較的高いとされています。ショアジギングでは常にラインがダメージを受けるリスクがあるため、このタフさは大きなメリットになります。また、コシが強くて糸がピンと張りやすいため、初心者の方でも扱いやすく、ガイドへの絡みといったトラブルも抑えやすい傾向にあります。
もう一つの大きな魅力は、価格の安さです。8本編みに比べて製造工程がシンプルなため、非常にリーズナブルに購入できます。ショアジギングはラインの消耗が激しい釣りです。頻繁にラインを巻き替えたい方や、岩場などでラインがすぐに傷んでしまうような釣り場をメインにする方にとって、4本編みのコストパフォーマンスの高さは非常に心強い味方になります。
ただし、表面にわずかな凹凸があるため、キャスト時にガイドと擦れる際のノイズが少し気になったり、8本編みに比べるとわずかに飛距離が落ちたりするという側面もあります。しかし、実釣において致命的な差になることは少なく、特に強引なやり取りが求められる場面や、予算を抑えたい場合には非常に合理的な選択肢となります。
飛距離と滑らかさを重視した8本編みのメリット
現在のショアジギングシーンで主流となっているのが、8本編みのPEラインです。8本の細い繊維で構成されているため、断面がより真円に近く、表面が驚くほど滑らかです。この滑らかさが圧倒的な飛距離を生み出します。ガイドとの摩擦抵抗が極限まで抑えられているため、キャストした瞬間にジグがスルスルと伸びていく感覚を味わえるはずです。
また、表面の平滑性が高いため、キャスト時の糸鳴り(シュルシュルという音)が非常に静かです。さらに、8本編みは同じ号数であっても4本編みより直線強度がわずかに高い傾向があります。これにより、同じ強度を保ったままさらにラインを細くすることができるため、より繊細かつダイナミックな釣りが可能になります。感度も向上し、水中のジグの動きや、小さな魚のコンタクトをより鮮明に手元へ伝えてくれます。
デメリットとしては、一本あたりの繊維が極めて細いため、一箇所でも傷がつくとそこから強度が急激に低下しやすい点が挙げられます。また、価格も4本編みに比べると高価になります。しかし、飛距離が重要視されるショアジギングにおいて、8本編みがもたらす恩恵は価格差以上のものがあると言えるでしょう。
ショアジギングには8本編みが主流な理由
結局どちらが良いのかという問いに対しては、現在では「8本編み」を推奨する声が圧倒的です。その最大の理由は、やはり飛距離です。ショアジギングにおいて「届かない場所で魚が跳ねている」という状況ほど悔しいものはありません。あと数メートル飛んでいれば釣れたかもしれない、という後悔をなくすために、多くのベテランアングラーは滑りの良い8本編みを選びます。
また、リールの高性能化に伴い、細いラインの扱いも以前より容易になっています。8本編みのしなやかさは、リールのスプールへの馴染みも良く、ライントラブルを減らす要因にもなります。ショアジギング専用として販売されているラインの多くが8本編みであることも、その信頼性の証です。特にPE1.5号以下のライトな設定で飛距離を稼ぎたいなら、迷わず8本編みを選ぶべきでしょう。
ただし、磯場で足元まで根が詰まっているような場所や、予算を重視してガシガシ使い倒したい場合は4本編みも優れた選択です。自分の釣りスタイルが、遠投重視のオープンエリアなのか、それとも障害物周りのパワーゲームなのかを考えて選んでみてください。迷ったなら、まずは8本編みの1.5号あたりからスタートするのが、最も現代的なショアジギングの正解に近い選択です。
5. PEラインを長持ちさせるためのメンテナンスと交換時期

PEラインは決して安いものではありません。できれば最高のコンディションを長く保ち、大切なチャンスでラインブレイクしないように管理したいものです。ショアジギングはラインに多大な負荷がかかる釣りのため、日頃のメンテナンスが寿命を大きく左右します。ここでは、ラインを長持ちさせるコツと、交換すべきサインについて解説します。
PEラインは日光(紫外線)や海水による劣化も受けますが、それ以上に「物理的なダメージ」と「塩噛み」が最大の敵となります。
釣行後の塩抜きとコーティング剤の活用
海で釣行した後のPEラインには、多くの塩分が付着しています。この塩分が乾燥して結晶化すると、繊維の間に入り込んでラインを傷めたり、ガイドとの摩擦を増やしたりする原因になります。釣行後は必ず、スプールごと水洗いして塩抜きを行いましょう。ドラグをしっかり締めた状態で、シャワーなどで優しく洗い流すだけで十分効果があります。できれば、ぬるま湯に数分浸けておくと、内部の塩分まで溶け出しやすくなります。
洗浄してしっかり乾かした後は、専用のコーティング剤(PEにシュッ!などのスプレー)を使用するのが非常に効果的です。コーティング剤を吹きかけることで、ラインの表面にシリコンの膜ができ、滑りが良くなります。これにより飛距離が向上するだけでなく、摩耗を抑え、ガイドへの糸絡みなどのトラブルを激減させることができます。また、撥水性が高まるため、ラインが水を吸って重くなるのを防ぐ効果もあります。
この一手間をかけるだけで、PEラインの寿命は劇的に伸びます。コーティングされたラインは指通りも滑らかで、キャストの際もスムーズに放出されます。高価なラインを長く使うためにも、そして何より釣行中のストレスを減らすためにも、メンテナンスを習慣化することをおすすめします。
ライントラブルを防ぐための巻き方とコツ
PEラインをリールに巻く際、適当に巻いてしまうと後で手痛いしっぺ返しを食らうことがあります。最も重要なのは、「適切なテンションをかけて巻く」ことです。スカスカの状態で巻いてしまうと、重いジグを投げた際や魚が掛かった際に、糸が下の層に食い込んでしまい、次のキャストでバックラッシュ(糸が絡まる現象)を引き起こす原因になります。専用の糸巻き器を使うか、濡れたタオルなどでラインを挟んで負荷をかけながら巻きましょう。
また、リールのスプールエッジ(糸を巻く部分の端)ギリギリまで巻きすぎないことも大切です。欲張って多く巻きすぎると、キャストの瞬間にドバッと糸が固まって出てしまい、派手なトラブルに繋がります。目安としては、スプールエッジから2〜3ミリほど余裕を持たせて巻くのがベストです。最近のリールは密巻き性能が高いですが、それでも腹八分目くらいを意識するとトラブルを回避できます。
さらに、実釣中にも気を配るポイントがあります。それは「糸ふけ(スラッグ)」の管理です。ジグを投げた後、着水した瞬間に余分な糸を素早く巻き取るようにしましょう。これを怠ると、次のシャクリの際にラインがガイドに絡んだり、スプール内で緩みが生じたりします。常に一定のテンションがラインにかかっている状態を意識することが、トラブルフリーな釣りのコツです。
巻き替え時期の見極めポイント
どれほど丁寧にメンテナンスをしていても、PEラインは消耗品です。いつかは交換の時期がやってきます。交換の目安となるサインの第一は、「表面の毛羽立ち」です。指でラインをなぞってみて、ザラつきを感じたり、白っぽく細い毛のようなものが立っていたりしたら、その部分の強度は著しく低下しています。毛羽立ちを見つけたら、その箇所を含めて数メートル、あるいは数十メートルを思い切ってカットしましょう。
次に、色あせも一つの目安になります。PEラインの染料が落ちて色が薄くなってきたということは、それだけ多くの紫外線や摩擦にさらされてきた証拠です。また、新品の時に比べてラインが柔らかくなりすぎたり、逆にゴワゴワしてきたりした場合も、素材自体の劣化が進んでいます。一般的には、週に一度程度の釣行であれば、半年から一年に一度は全巻き替えをするのが安心です。
「まだ大丈夫だろう」という油断が、一生に一度かもしれない大物との出会いを台無しにします。特にショアジギングでは常に限界近い負荷がかかるため、少しでも不安を感じたら巻き替える勇気が必要です。また、ラインの前後を入れ替えて巻き直す「裏返し」という手法を使えば、未使用の奥側のラインを再利用でき、経済的に長持ちさせることも可能です。常にラインの状態に気を配り、万全の体制で海に挑みましょう。
6. ショアジギングのPE何号?の答えをまとめてチェック
ここまで、ショアジギングにおけるPEラインの選び方について、さまざまな角度から解説してきました。最後に、大切なポイントをおさらいしましょう。PE何号を使うべきかという問いに対する答えは、ターゲットとフィールドの条件を天秤にかけることで見えてきます。
【PEライン選びの決定版まとめ】
・初心者の方の最初の1本なら「1.5号」が最も安心かつ汎用性が高い。
・軽快なライトショアジギングなら「0.8号〜1.2号」で飛距離を重視。
・本格的な中型青物狙いなら「1.5号〜2.0号」を標準にする。
・険しい磯場での大型狙いなら「3.0号以上」の太糸セッティング。
・飛距離と滑らかさを求めるなら、迷わず「8本編み」を選択する。
・リーダーはPEの強度に合わせ、基本はフロロカーボンを結ぶ。
ライン選びに「絶対の正解」はありませんが、「大失敗しない基準」は存在します。まずは基準となる1.5号あたりからスタートし、自分の飛距離への欲求や、実際に掛かった魚のサイズ感、釣り場の環境に合わせて、より自分に合った号数を見つけていってください。細いラインでスリリングなやり取りを楽しむのも、太いラインで強引にねじ伏せるのも、どちらもショアジギングの醍醐味です。
適切なPEラインを選び、丁寧なメンテナンスとノットを心掛ければ、海からの反応は必ず返ってきます。信頼できるラインをリールに巻いて、ぜひ広大なフィールドへ出かけてみてください。あなたの選んだそのラインが、いつか素晴らしい大物との出会いを手繰り寄せてくれることを願っています。



