タイラバといえばベイトリールを使うのが一般的ですが、近年ではスピニングリールを活用した「キャスティングタイラバ」が大きな注目を集めています。スピニングリール特有のメリットを活かすことで、ベイトタックルだけでは攻略が難しかった状況でも真鯛に出会えるチャンスが格段に広がります。
この記事では、タイラバでスピニングリールを使う魅力や、失敗しないためのリール選びのポイント、そして実釣で役立つ具体的なテクニックをわかりやすく解説します。これからスピニングタックルを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。新しいタイラバの世界を一緒に広げていきましょう。
スピニングリールを使ったタイラバの魅力とメリット

タイラバ釣行においてスピニングリールを導入することには、ベイトリールにはない独自の強みが数多く存在します。特に広範囲を探る能力や、特定の水深での有利さは、釣果に直結する重要な要素となります。
広範囲を効率よく探れるキャスティング性能
スピニングリールを導入する最大のメリットは、なんといってもルアーを遠くに飛ばせる「キャスティング性能」にあります。ベイトリールが船の真下を探る「縦の釣り」を得意とするのに対し、スピニングリールは広範囲を斜めに引いてくる「横の釣り」を可能にします。
船の真下だけを狙っていると、魚がスレてしまったり、船の影を嫌って逃げてしまったりすることがあります。しかし、キャストして広範囲を探ることで、まだ警戒心の薄いフレッシュな真鯛にアプローチできる確率が高まります。特に、魚の活性が低いときや、群れが散らばっている状況でこの機動力は大きな武器となります。
また、斜めにタイラバを引き上げることで、真鯛がルアーを追う距離が長くなるという利点もあります。真鯛にじっくりとルアーを見せ、追尾させてから食わせるまでの間を長く作れるため、低活性時でも深いバイトを引き出しやすくなります。
浅場(シャロー)攻略に欠かせない理由
水深が20メートルから40メートル程度の浅場、いわゆる「シャローエリア」でのタイラバでは、スピニングリールの独壇場となることが珍しくありません。水深が浅い場所では、船の真下を探るだけだとすぐにルアーが回収されてしまい、魚にアピールする時間が極端に短くなってしまいます。
そこでスピニングリールの出番です。キャストして遠くから斜めに引いてくることで、浅場でも十分なリトリーブ距離(巻いてくる距離)を確保できます。これにより、真鯛がルアーに気づき、追いかけて反転してヒットするという一連の流れをスムーズに作り出すことが可能になります。
さらに、浅場にいる真鯛は非常にパワフルで、ヒット直後に横へ走り出すことも多いです。スピニングリールの高性能なドラグを活かせば、急な突っ込みにも柔軟に対応でき、ラインブレイクのリスクを抑えながらスリリングなファイトを楽しむことができます。
フォールスピードの速さでリアクションバイトを誘う
スピニングリールは構造上、ラインがスプールからパラパラと放出されるため、ベイトリールに比べてフォールスピード(ルアーが沈む速さ)が速いという特徴があります。この速さが、魚の捕食スイッチを入れるトリガーになることがあります。
ベイトリールの場合、どうしてもスプールの回転抵抗がかかるため、フォールスピードに一定の限界があります。しかし、スピニングリールであれば、タイラバを一気に海底まで沈めることができ、その勢いで周囲の魚に「何かが落ちてきた!」と強く意識させることが可能です。
特に底付近に張り付いている真鯛に対して、高速フォールから着底直後の巻き上げに移行することで、反射的に口を使わせる「リアクションバイト」を誘発しやすくなります。このスピード感のメリハリは、スピニングタックルならではの攻略法といえるでしょう。
タイラバ用スピニングリールの選び方とスペックの基準

スピニングリールであれば何でも良いというわけではありません。タイラバという釣りの特性に合わせた、適切なサイズやスペックを選ぶことが快適な釣行への第一歩となります。
番手(サイズ)は3000番から4000番が目安
タイラバで使用するスピニングリールの番手は、シマノやダイワの基準で3000番から4000番が最も使いやすいとされています。このサイズであれば、十分なラインキャパシティ(糸巻き量)を確保しつつ、リール自体の自重も重すぎないため、一日中キャストを繰り返しても疲れにくいです。
3000番クラスは、操作性が高く繊細な釣りに向いています。浅場をメインにする場合や、軽量なタイラバを多用するシーンで活躍します。一方、4000番クラスは巻き上げパワーが強く、大型の真鯛が掛かった際や、少し深めの水深で重めのルアーを扱う際に安心感があります。
最近のリールは小型軽量化が進んでいるため、4000番であっても昔の3000番と同じくらいの重さのものも増えています。迷った場合は、パワーと汎用性のバランスが良い4000番のコンパクトボディモデルなどを選ぶのがおすすめです。
ギア比は「ハイギア」か「パワーギア」か
リールのギア比選びは、タイラバのスタイルに大きく影響します。キャスティングタイラバにおいて主流となっているのは、ハンドル1回転あたりの巻き取り量が多い「ハイギア(HG)」モデルです。
ハイギアの利点は、キャスト後の糸ふけを素早く回収できることや、広範囲をスピーディーに探れることです。また、回収スピードが速いため、手返しが良くなり、結果として魚との出会いのチャンスを増やすことができます。感度も高いため、潮流の変化や魚の前アタリを感じ取りやすいという特徴もあります。
対して「パワーギア(PG)」は、巻き上げが軽く、一定の速度でゆっくり巻く「等速巻き」がしやすいのがメリットです。深場で重いタイラバを使う場合や、力強い巻き上げを重視したい場合には選択肢に入りますが、まずは汎用性の高いハイギアから始めるのが一般的です。
ドラグ性能と糸巻き量の重要性
タイラバは細いPEライン(0.6号〜1.0号程度)を使用するため、リールの「ドラグ性能」は極めて重要です。ドラグとは、大きな力がかかった際に糸をスムーズに送り出し、ラインが切れるのを防ぐ仕組みのことです。
真鯛は「三段引き」と呼ばれる強烈な突っ込みを見せます。滑らかに作動するドラグを備えたリールであれば、細糸でも安心してやり取りができます。安価すぎるモデルはドラグの滑り出しがスムーズでないことがあるため、ある程度の中堅クラス以上のリールを選ぶのが安心です。
また、糸巻き量については、PE0.8号が200メートル以上巻けるスペックを基準にしましょう。高切れ(ラインが途中で切れること)や、不意の大物による長距離の走りに対応するためにも、十分な余裕を持ってラインを巻いておくことが実釣でのトラブル防止につながります。
ベイトリールとスピニングリールの使い分け術

タイラバをより深く楽しむためには、ベイトリールとスピニングリールのどちらが優れているかではなく、それぞれの得意分野を理解して状況に合わせて使い分けることが大切です。
基本のベイトリールが得意なシチュエーション
ベイトリールが最も輝くのは、船を潮流や風に乗せて流す「ドテラ流し」や、垂直に仕掛けを落とすバーチカルな釣りです。ベイトリールは構造上、着底の瞬間がわかりやすく、すぐに巻き上げに移れる「タッチ&ゴー」が得意という特徴があります。
また、構造がシンプルで巻き上げ力が強いため、水深が100メートルを超えるような深場や、150グラム以上の重いヘッドを使用する場合にはベイトリールが圧倒的に有利です。一定の速度で巻き続ける「等速巻き」の精度も高く、真鯛に違和感を与えずに誘い続けることができます。
基本的には、船の真下を丁寧に探り、海底の起伏をしっかり捉えながら釣りを展開したいときはベイトリールの出番となります。タイラバの王道スタイルであり、安定感のある釣りが展開できるのが魅力です。
スピニングリールが本領を発揮する場面
スピニングリールが威力を発揮するのは、前述の通り「浅場」や「広範囲に魚が散っている状況」です。さらに、潮が止まっていて船が動かない「無風状態」のときにも、自らキャストして探りを入れることができるため、非常に重宝します。
また、海面に鳥が集まっている状況や、ベイト(餌となる小魚)が中層に浮いている場合など、ボトム(底)以外も広く探りたいときにもスピニングリールは便利です。キャストして中層まで巻き上げてくることで、真鯛以外の青物や根魚など、多彩なターゲットを狙うこともできます。
加えて、ベイトリール特有のトラブルである「バックラッシュ(スプール内で糸が絡む現象)」が起こりにくいため、向かい風の中でも思い切ってキャストできるのはスピニングリールの大きな強みです。
二刀流で釣果を伸ばすための戦略
ベイトタックルとスピニングタックルの両方を持ち込む「二刀流」スタイルは、現代のタイラバにおいて最も効率的な戦略の一つです。朝イチの深場や潮が速い時間帯はベイトリールで着実に狙い、潮が緩んだり浅場に移動したりしたタイミングでスピニングリールに持ち替えます。
このようにタックルを使い分けることで、状況の変化に即座に対応でき、1日を通して集中力を維持しながら釣りを続けられます。例えば、隣の人がベイトで釣れていないときに自分だけスピニングでキャストしてヒットさせるといった、戦術的な楽しみも増えます。
タックルを2本用意するのは大変かもしれませんが、スピニングタックルを1つ持っておくだけで、攻略の幅が2倍、3倍へと大きく広がります。まずはメインのベイトタックルにプラスして、サブとしてスピニングを用意してみるのがおすすめです。
リールの使い分けまとめ表
| 状況 | 推奨リール | 主な理由 |
|---|---|---|
| 水深60m以上の深場 | ベイトリール | 巻き上げ力と着底感度の良さ |
| 水深40m以下の浅場 | スピニングリール | 広範囲を探れるキャスティング力 |
| ドテラ流し(バーチカル) | ベイトリール | 等速巻きの安定性と手返しの良さ |
| 無風・潮止まり時 | スピニングリール | キャストにより自ら探る範囲を広げる |
スピニングリールでのタイラバ実釣テクニック

リールを揃えたら、次は具体的な操作方法を身につけましょう。スピニングリールならではのテクニックをマスターすることで、さらに真鯛との距離が縮まります。
アンダーハンドキャストで周囲と差をつける方法
乗合船でのキャスティングタイラバにおいて、最も基本的かつ重要なのが「アンダーハンドキャスト」です。周囲に他のお客さんがいる船上では、安全のために頭の上から投げるオーバーヘッドキャストは厳禁です。
竿先を下に向け、振り子の原理を利用して下からふんわりと投げ込みます。この際、あまり力を入れすぎず、タイラバの重みをロッドに乗せるイメージで飛ばすのがコツです。30〜40メートルほど飛ばせれば、十分に広範囲を探ることが可能になります。
キャストの際は、必ず周囲の安全を確認し、隣の人のラインと交差しないよう注意しましょう。少し斜め前方に投げることで、船の移動に合わせてルアーを広く引いてくることができます。このキャストの正確さと飛距離が、釣果を分けるポイントになります。
「タッチ&ゴー」をスムーズに行うコツ
タイラバの基本は、着底した瞬間に巻き始める「タッチ&ゴー」です。スピニングリールはベイトリールに比べて着底の判断が少し難しいため、意識的な工夫が必要になります。
ルアーをフォールさせている間は、スプールから出ていくラインの動きを注視してください。ラインが「フッ」と緩んだ瞬間が底についた合図です。この瞬間に素早くベールを戻し、巻き始めます。この動作が遅れると、ルアーが海底を転がって根掛かりの原因になったり、真鯛に見切られたりしてしまいます。
コツとしては、着底が近くなったら指でラインに軽く触れる「フェザリング」を行うことです。これによりラインの出過ぎを抑え、わずかな変化も感じ取りやすくなります。スムーズなタッチ&ゴーができるようになれば、ヒット率は劇的に向上します。
斜め引き(横の釣り)で真鯛を誘うコツ
スピニングタックルでの最大の武器は、斜めにルアーを引いてくる「横の釣り」です。この釣法では、ベイトタックルのような垂直な動きとは異なる誘いの意識が求められます。
キャストして着底させた後、一定の速度で巻いてくるのは同じですが、斜めに引いている分、ルアーは「底から離れすぎず、長くボトム付近を這う」ような動きになります。これが、底付近にいるエビやカニを意識している真鯛にとって非常に魅力的な動きとなるのです。
リトリーブ速度は、その日の状況に合わせて変えてみましょう。基本は1秒間にハンドル1回転〜1.5回転程度ですが、反応がないときは早めに巻いたり、逆にデッドスロー(極低速)で巻いたりして、魚の好むスピードを探り当ててください。斜め引き特有の「重みが乗るようなアタリ」を逃さないようにしましょう。
初心者にもおすすめのタイラバ対応スピニングリール

ここでは、実際にタイラバで使いやすく、多くの釣行者から信頼を得ているおすすめのスピニングリールをいくつかご紹介します。予算や好みに合わせて選んでみてください。
ダイワのおすすめモデル:軽さと剛性のバランス
ダイワのリールは「LT(LIGHT & TOUGH)」コンセプトにより、非常に軽量でありながら高い耐久性を誇ります。タイラバのような巻き続ける釣りにおいて、自重の軽さは大きなメリットになります。
特におすすめなのが「カルディア」シリーズです。モノコックボディを採用しているため、大きな負荷がかかってもボディが歪まず、スムーズな巻き上げが持続します。防水性能も高く、ソルトウォーターでの過酷な使用にも耐えうる設計です。
さらに上位モデルを狙うなら「ルビアス」や「セルテート」も選択肢に入ります。特にセルテートは剛性が非常に高く、大型の真鯛や不意の青物とのファイトでも圧倒的な安心感を提供してくれます。ダイワらしい軽快な操作感を求めるなら、これらのモデルが最適です。
シマノのおすすめモデル:滑らかな巻き心地と耐久性
シマノのリールは「マイクロモジュールギア」による滑らかな巻き心地が最大の特徴です。タイラバにおいて、リトリーブ中のわずかな違和感(アタリや潮の変化)を感じ取るためには、この「巻きの質」が重要になります。
定番として人気なのが「ストラディック」です。上位モデルに迫る剛性と耐久性を備えながら、コストパフォーマンスに優れたモデルとして、多くのタイラバアングラーに愛用されています。これ一台あれば、キャスティングタイラバを十分に満喫できます。
さらにこだわりたい方には「ツインパワー」や「ヴァンキッシュ」がおすすめです。ツインパワーは強靭な巻き上げ力が魅力で、ヴァンキッシュは圧倒的な軽さにより感度を研ぎ澄ませたい釣りに向いています。シマノ特有のシルキーな巻き心地は、一度使うと病みつきになるでしょう。
コスパ重視で選ぶ入門者向けリール
「まずはスピニングでのタイラバを試してみたい」という初心者の方には、1万円前後で購入できるエントリーモデルも優秀な選択肢です。最近のリールは入門機であっても、非常に高い性能を持っています。
ダイワの「レグザ」や、シマノの「ナスキー」などは、実売価格が抑えられていながら、タイラバに必要な基本性能をしっかり備えています。アルミニウムボディや高品質なドラグシステムを搭載しており、数年前の上位モデルに匹敵する使い勝手を実現しています。
これらのリールでまずは感覚を掴み、より深くハマっていった際にミドルクラスやハイエンドクラスにステップアップしていくのも良い方法です。安価なリールでも、適切なメンテナンスを行えば長く愛用することができます。
タイラバ用リールを選ぶ際は、必ず「海水対応(ソルト対応)」であることを確認してください。また、釣行後は真水でしっかり洗い、塩噛みを防ぐことが長く使い続けるための鉄則です。
スピニングリールでのタイラバを成功させるためのまとめ
タイラバにおいてスピニングリールを活用することは、単なるバリエーションの一つではなく、釣果を確実に伸ばすための強力な戦略です。キャスティングによる広範囲のサーチ能力、浅場での圧倒的な優位性、そして高速フォールによる誘いなど、スピニングリールならではの強みを理解することで、攻略の幅は飛躍的に広がります。
リール選びの際は、3000番から4000番のサイズを中心に、ハイギアモデルを選択するのが基本です。そこに滑らかなドラグ性能が加われば、細糸でのスリリングなファイトも安心して楽しむことができます。ベイトリールとの二刀流をマスターすれば、どんな状況下でも真鯛にアプローチできる自信がつくはずです。
アンダーハンドキャストやタッチ&ゴーといった基本テクニックを練習し、ぜひフィールドで「横の釣り」の威力を体感してください。スピニングリールを使いこなして、価値ある一枚の真鯛を手にする喜びを味わいましょう。あなたのタイラバライフが、より豊かで刺激的なものになることを応援しています。



