タイラバ(真鯛を狙うルアー釣り)の世界で、近年爆発的な人気を集めているのが「ビッグネクタイ」です。以前はアピールが強すぎると敬遠されることもありましたが、今ではデカい真鯛を釣るための必須アイテムとして定着しました。
このビッグネクタイは、通常のネクタイでは反応しないような大型の個体や、活性の高い魚を効率よく引き寄せる力を持っています。しかし、ただ大きくすれば良いというわけではなく、状況に合わせた選び方やコツが必要です。
この記事では、タイラバでビッグネクタイを使うメリットや、効果的なシチュエーション、さらにタックルバランスの注意点までを詳しく解説します。これからビッグネクタイに挑戦したい方は、ぜひ参考にしてください。
タイラバでビッグネクタイが注目される理由と基本知識

タイラバの仕掛けにおいて、ネクタイは魚を誘う最も重要なパーツの一つです。その中でも「ビッグネクタイ」と呼ばれるカテゴリーは、従来のサイズ感を超えた圧倒的なボリュームが特徴となっています。
ビッグネクタイの定義と一般的なサイズ感
タイラバにおけるビッグネクタイとは、明確な基準があるわけではありませんが、一般的には全長が20センチメートルを超えるものや、幅が非常に広いものを指すことが多いです。
通常のネクタイが10〜15センチメートル程度であるのに対し、ビッグネクタイは30センチメートルを超えるロングタイプや、厚みのあるシリコン素材を使った幅広タイプなど多岐にわたります。最近では多くのメーカーから専用モデルが発売されています。
これらのネクタイは、海中での存在感が非常に強く、離れた場所にいる真鯛に対しても「ここにエサがあるぞ」と強くアピールすることができます。また、視覚的なインパクトだけでなく、動いた際の水の押しも強力です。
視覚と波動でターゲットに強くアピールする仕組み
ビッグネクタイが釣れる最大の理由は、「強い波動」と「視覚的なボリューム」の相乗効果にあります。真鯛は側線(そくせん)という器官で水の振動を感じ取る能力に長けています。
大きなネクタイが動くことで発生する強い水の動き(波動)は、広範囲に伝わりやすく、捕食スイッチの入った真鯛の食い気を刺激します。特に深場や濁りのある状況では、この波動によるアピールが大きな武器となります。
また、視覚的にも大きなネクタイは目立ちます。真鯛は好奇心が強く、自分よりも大きな獲物を狙うことも珍しくありません。ビッグネクタイのゆったりとした大きな動きは、逃げ惑う大きなベイト(エサとなる小魚やイカ)を演出します。
定番ネクタイとの使い分けを判断する基準
常にビッグネクタイを使えば良いというわけではなく、通常のネクタイと使い分けることが釣果を伸ばすコツです。判断基準の一つは、狙っている真鯛のサイズと、その時食べているエサの種類です。
例えば、周囲で大型の真鯛が上がっている時や、ベイトとして大きなイカやイワシが入っている時は、ビッグネクタイの出番です。逆に、小型の真鯛が多く、エサがプランクトンや小さなエビなどの場合は、通常サイズの方が有利なこともあります。
また、潮の速さも重要な判断材料です。潮がスカスカで抵抗を感じない時は、ビッグネクタイでしっかりと潮を掴み、魚にアピールするのが効果的です。一方で、潮が速すぎて仕掛けが流されすぎる時は、少しサイズを落として調整しましょう。
【使い分けの目安】
・ビッグネクタイ:大型狙い、深場、濁り潮、高活性時、ベイトが大型
・通常ネクタイ:数釣り、浅場、澄み潮、低活性時、ベイトが小型
ビッグネクタイを使用するメリットと真鯛へのアピール力

ビッグネクタイを使う最大の魅力は、やはり「大型の真鯛が釣れる確率が上がる」という点にあります。なぜ大きなネクタイが大型魚に効くのか、その具体的なメリットを見ていきましょう。
大型真鯛の闘争心を刺激し「大物」を選んで釣る
大きなネクタイは、小型の真鯛にとっては「食べられない大きな獲物」に見えることがありますが、大型の真鯛にとっては「食べ応えのある格好のターゲット」に映ります。これにより、自然と釣れるサイズを選別する効果が期待できます。
小型の魚が先に食いついてしまうのを防ぎ、じっくりと大型の魚に口を使わせる間を作ることができます。これは、限られた時合(じあい:魚がよく釣れる時間帯)の中で効率よく大物を仕留めるために非常に有効な戦略です。
また、大型の真鯛は縄張り意識が強い個体も多く、目の前を横切る大きな物体に対して攻撃的な反応を示すことがあります。エサとしてだけでなく、邪魔者を排除しようとする闘争心を利用してヒットに持ち込めるのも特徴です。
濁りやディープエリアでも埋もれない圧倒的な存在感
水深が100メートルを超えるようなディープエリア(深場)や、雨上がりなどの濁りが入った状況では、ルアーの視認性が著しく低下します。こうした過酷な環境下で力を発揮するのがビッグネクタイです。
通常サイズのネクタイでは周囲の環境に紛れてしまい、魚に見つけてもらえないことがありますが、ビッグネクタイは圧倒的な存在感で魚の注意を引きます。シルエットがはっきり出るため、遠くにいる魚も認識しやすくなります。
特に、ドテラ流し(船を風や潮に乗せて流す釣り方)でラインを長く出す釣りでは、遠くに離れたタイラバをいかに発見させるかが重要です。ビッグネクタイの強い波動は、暗い海中でも魚にその場所をしっかりと伝えてくれます。
活性が低い魚に対してもリアクションバイトを誘発
「活性が低い時は小さなネクタイが良い」と思われがちですが、実はビッグネクタイが突破口になることもあります。これは、魚の捕食本能ではなく、反射的に口を使わせる「リアクションバイト」の効果です。
目の前に突然現れた大きな物体や、強烈な波動に対して、魚が思わず反応してしまう現象を利用します。だらだらと泳いでいる魚の前に、大きなネクタイを通過させることで、スイッチを強制的に入れるイメージです。
この釣り方は、通常の誘いでは全く反応がない時間帯に非常に有効です。周囲のアングラーが静かな中で、自分だけがビッグネクタイで大物を引き出すという快感は、この釣りならではの醍醐味と言えるでしょう。
リアクションを狙う場合は、巻きスピードに変化をつけたり、少し速めに巻いてみたりして、魚を焦らせるような演出を加えるのも一つのテクニックです。
季節や海況に合わせたビッグネクタイの出しどころ

タイラバにおいてビッグネクタイが最も輝く瞬間はいつでしょうか。季節ごとのパターンや、海の状態から判断するベストなタイミングを整理してみましょう。
春の乗っ込みシーズンは大チャンス!体力をつけた真鯛を狙う
春は真鯛が産卵のために浅場へ移動してくる「乗っ込み」の季節です。この時期の真鯛は、産卵に向けて大量のエネルギーを必要としているため、非常に食欲が旺盛になります。そのため、ボリュームのあるビッグネクタイへの反応が抜群に良くなります。
特に体力を蓄えた大型の「親ダイ」は、小さなエサをたくさん食べるよりも、一口で大きな満足感を得られる獲物を好む傾向があります。厚みのあるカーリータイプのビッグネクタイなどは、この時期の定番アイテムです。
また、春先は水温が不安定なことも多いですが、ビッグネクタイの強いアピール力は、活性の上がりきらない魚の目にも止まりやすいという利点があります。自己記録更新を目指すなら、春のビッグネクタイは外せません。
冬のイカパターンやベイトが大型化しているタイミング
真鯛の主食は季節によって変化しますが、特に冬から春にかけて「イカ」を偏食する時期があります。これを釣り人の間では「イカパターン」と呼びます。イカは泳ぐ際に大きな波動とシルエットを出すため、ビッグネクタイとの相性が非常に良いです。
ロングタイプのネクタイは、細長いイカの形状を模すのに最適です。カラーも赤やオレンジだけでなく、夜光カラーやケイムラ(紫外線に反応する色)などを選ぶことで、よりリアルにイカを演出することができます。
また、秋などにマイワシなどの大きなベイトフィッシュが回遊している時もチャンスです。こうした時期に小さなネクタイを使うと、ベイトの群れの中に仕掛けが埋もれてしまいますが、ビッグネクタイなら群れの中でも際立って目立つことができます。
二枚潮や強風時など海況が厳しい時の強い味方
海の状態が悪い時ほど、ビッグネクタイの安定感が役立ちます。例えば、表層と底で潮の流れが異なる「二枚潮」の状況では、タイラバがどこにあるのか感覚が掴みにくくなります。
ビッグネクタイは潮の抵抗をしっかりと受けるため、ラインに程よいテンション(張り)がかかり、底取りがしやすくなるというメリットがあります。また、強風で船が速く流される時も、大きなネクタイがブレーキの役割を果たし、アクションが安定しやすくなります。
海が荒れている時は魚も深い場所や障害物の陰に隠れがちですが、そうした魚を遠くから呼び寄せるパワーがビッグネクタイにはあります。厳しい状況こそ、弱気にならずにボリュームのある仕掛けを投入する勇気が大切です。
ビッグネクタイを快適に扱うためのタックルバランス

ビッグネクタイはアピール力が高い反面、潮の抵抗を大きく受けるため、通常のタイラバとは少し違ったタックルバランスが求められます。快適に釣りを楽しむための注意点を確認しましょう。
絡みを防止しフッキング率を高めるフックシステムの調整
ビッグネクタイを使用する際、最も多いトラブルが「ネクタイがフックに絡まる」ことです。ネクタイが長い分、泳いでいる最中にフックを拾いやすく、絡まってしまうと魚は絶対に食いつきません。
これを防ぐためには、フックの段差を大きくつけるか、逆に短いアシストラインを使用してフックをヘッドに近い位置に固定するのが有効です。また、最近では3本フックや4本フックのシステムも普及しており、ネクタイのボリュームに合わせてフックの数や大きさを調整しましょう。
「フックは大きめを選ぶ」のがビッグネクタイの基本です。ネクタイの幅に負けないようなゲイプ幅(針の懐の広さ)があるフックを使うことで、ネクタイを吸い込んだ真鯛の口にしっかりと針を掛けることができます。
ネクタイのボリュームに負けないヘッド重量のバランス
ビッグネクタイは水中で大きな抵抗を生みます。そのため、通常使っているヘッド(重り)のままだと、ネクタイの抵抗に負けて仕掛けが浮き上がりすぎたり、底が取りにくくなったりすることがあります。
ビッグネクタイを使う際は、普段よりも10〜20グラム程度重いヘッドを選択するのがコツです。これにより、ネクタイをしっかりと引っ張りながら泳がせることができ、アクションにキレが生まれます。
また、ヘッドの形状にも注目しましょう。水切りの良いスリムな形状のヘッドは、ビッグネクタイの引き抵抗を軽減してくれるため、長時間の釣りでも疲れにくくなります。タングステン素材のヘッドは、体積が小さく感度が良いため、特におすすめです。
| 状況 | 推奨ヘッド重量の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 水深 50m前後 | 80g ~ 100g | やや重めにして動きを安定させる |
| 水深 80m以上 | 120g ~ 150g以上 | 底取りを最優先にする |
| ドテラ流し | 150g ~ 200g以上 | ラインの角度を一定に保つ |
素材とカラーの組み合わせでさらにアピール力を高める
ビッグネクタイの効果を最大限に引き出すためには、素材とカラーの選び方も重要です。一般的にはシリコン素材が主流ですが、厚みや硬さによってアクションが変わります。柔らかい素材は艶めかしい動きを、硬い素材は強い波動を生みます。
カラーに関しては、ビッグネクタイの存在感をさらに強調する「膨張色」が人気です。オレンジやレッド、ゼブラ柄などは定番ですが、濁りがある時はチャート(蛍光イエロー)やブラックなどのコントラストがはっきりする色も効果的です。
最近では、ラバーの表面に凹凸(リブ)があるタイプも登場しており、水に絡みやすく、より複雑な波動を出すことができます。カラーだけでなく「質感」にもこだわって選ぶことで、他の釣り人と差をつけることができます。
実践で役立つビッグネクタイの巻き方とアタリの取り方

タックルを準備したら、次は実釣でのコツです。ビッグネクタイならではの操作方法や、独特のアタリへの対応を身につけることで、キャッチ率を大幅にアップさせることができます。
等速巻きが基本!ボリュームに合わせた巻きスピードの調整
タイラバの基本は、リールを一定の速度で巻く「等速巻き」ですが、ビッグネクタイの場合はそのスピード設定が鍵となります。ネクタイが大きいため、あまりに速く巻きすぎると抵抗が強くなりすぎて不自然な動きになります。
基本的には、「ネクタイがしっかりと動いていることを手元で感じる程度のスピード」を維持しましょう。リールのハンドルに伝わってくる「ブルブル」という感触が、ネクタイが理想的にアクションしている合図です。
低活性時はデッドスロー(極限までゆっくり)で巻くこともありますが、ビッグネクタイの場合はある程度の速度で巻いた方が、その波動を活かすことができます。まずは標準的なスピードから始め、魚の反応を見ながら調整していきましょう。
アタリがあっても焦らない!フッキングまでの絶妙な間
ビッグネクタイを使っていると、アタリ(魚の反応)の出方が通常とは異なることがあります。ネクタイが長いため、魚がネクタイの端っこだけを噛んでいる時間が長くなるのです。
アタリがあっても、すぐに竿を立てて合わせる(フッキングする)のは禁物です。魚がネクタイをしっかりと口の中に追い込み、針に掛かるまで「巻き続ける」ことが鉄則です。ビッグネクタイの場合、この「追い食い」を待つ時間が通常よりも数秒長くなることがあります。
「ガツガツッ」という前アタリから、竿先がグーッと深く絞り込まれるまで、同じペースで巻き続けましょう。魚の重みが完全に乗ったところで、優しく竿を立てる程度で十分フッキングします。焦りは禁物です。
ネクタイの先端ばかりを噛んでくる場合は、フックの位置を少し後ろに下げたり、ネクタイを少し短くカットしたりする微調整も有効な手段です。
違和感を与えないためのロッドの角度とドラグ設定
ビッグネクタイは引き抵抗が大きいため、ロッド(竿)に常に負荷がかかっています。魚がバイト(食いつき)した際に違和感を与えないよう、ロッドの角度はラインに対して真っ直ぐ、または少しだけ角度をつける程度に保ちましょう。
また、ドラグ(糸が出る仕組み)の設定は通常よりも少し「緩め」にしておくのがおすすめです。ビッグネクタイは水の抵抗がある分、魚が引っ張った際に強いテンションがかかり、口切れや針外れが起きやすくなるからです。
魚が掛かってからは、一定のテンションを保ちながら慎重にやり取りしましょう。ビッグネクタイで釣れる魚は大型であることが多いため、無理なパワー勝負は避け、ドラグをフル活用してじっくりと浮かせてくるのが成功の秘訣です。
【実釣時の重要ポイント】
・リールを止めてはいけない(アタリの最中も)
・強引な合わせは厳禁
・ドラグ設定は「指で引っ張ってスッと出る」程度に
まとめ:タイラバでビッグネクタイを使いこなして記憶に残る一枚を
タイラバのビッグネクタイは、単なる流行ではなく、大鯛を狙って釣るための論理的な戦略に基づいたアイテムです。その圧倒的なアピール力と強い波動は、タフな状況を打破し、夢のサイズを引き寄せる力を秘めています。
最後に、ビッグネクタイを使いこなすための重要ポイントを振り返りましょう。
まず、ビッグネクタイは「ここぞ」という場面で投入することが大切です。春の乗っ込みシーズンやベイトが大型化している時、あるいは深場や濁り潮で魚にルアーを見つけてもらいたい時が最大のチャンスです。
次に、タックルバランスの最適化を忘れないでください。大きめのフック、重めのヘッドを選択し、ネクタイのボリュームに負けないセッティングを組むことが、トラブルなく快適に釣りを続けるための基本となります。
そして実釣では、アタリがあっても動じずに巻き続ける「忍耐」が必要です。ネクタイが大きい分、フッキングまでの時間は長くなりますが、その分、針に掛かった時のサイズへの期待感は格別なものがあります。
ビッグネクタイをルアーボックスに忍ばせておけば、あなたのタイラバゲームの幅は大きく広がります。この記事を参考に、ぜひ次の釣行でビッグネクタイを試してみてください。きっと、今まで出会えなかったような大鯛が、あなたの仕掛けを待ち構えているはずです。




