ショアジギングは、岸から重いルアーを遠投して力強い青物を狙う、非常にエキサイティングな釣りです。大海原に向かってメタルジグを投げ込む爽快感は格別ですが、そこで重要になるのが「ショアジギングライン」の選択です。
どんなに高価なロッドやリールを使っていても、魚と自分を繋ぐ唯一の存在であるラインが適切でなければ、せっかくの大物を逃してしまうかもしれません。また、ライントラブルが多いと釣りのリズムが崩れ、貴重なチャンスタイムを無駄にしてしまうこともあります。
この記事では、初心者の方から中級者の方まで、ショアジギングラインの基礎知識や選び方の基準、さらには長持ちさせるメンテナンス方法までを丁寧に解説します。自分のスタイルにぴったりのラインを見つけて、記録更新の一匹を手に入れましょう。
ショアジギングラインの基本となるPEラインの選び方

ショアジギングにおいて、メインラインとして圧倒的に選ばれているのが「PEライン」です。PEラインは極細のポリエチレン素材を編み込んで作られており、他のラインにはない特徴を持っています。まずは、なぜPEラインが選ばれるのか、その理由から見ていきましょう。
PEラインがショアジギングで主流な理由
ショアジギングにおいてPEラインが使われる最大の理由は、伸びがほとんどなく、感度と飛距離に優れているからです。メタルジグを100メートル以上飛ばすことも珍しくないこの釣りでは、遠くにあるルアーの動きを正確に把握する必要があります。
PEラインはナイロンラインなどと比べて伸び率が極めて低いため、遠方の魚のアタリをダイレクトに手元へ伝えてくれます。また、同じ強度であればナイロンよりも圧倒的に細く作れるため、空気抵抗や水流の抵抗を抑え、圧倒的な飛距離を出すことが可能です。
一方で、PEラインは「根ズレ(岩などに擦れること)」には非常に弱いという弱点があります。この弱点を補うために、先端には必ずショックリーダーを接続して使用するのがショアジギングの鉄則です。この組み合わせが、現代のショアジギングを支える基本構造となっています。
ラインの太さ(号数)を決める基準
ショアジギングラインを選ぶ際、最も悩むのが「号数」ではないでしょうか。一般的に、防波堤からのライトショアジギングであれば1.0号から1.5号、本格的な地磯や大型の青物を狙う場合は2.0号から3.0号以上が目安となります。
号数が細ければ細いほど、飛距離が伸び、風や潮の影響を受けにくくなります。しかし、細すぎると大物との強引なやり取りでラインブレイク(糸切れ)を起こすリスクが高まります。逆に太すぎると、ルアーの動きが悪くなったり、飛距離が落ちたりするデメリットが生じます。
まずは自分が通うフィールドで最も釣れる魚のサイズを想定し、その魚を無理なく寄せられる強度を確保しましょう。迷った場合は、少し余裕を持って1.5号程度から始めてみるのが、トラブルも少なく安心でおすすめの選択肢といえます。
4本編みと8本編みの違いと使い分け
PEラインには、原糸を4本で編んだものと、8本で編んだもの(中には12本編みも)があります。これらは価格だけでなく、性能面でも明確な違いがあります。一般的に8本編みの方が表面が滑らかで、ガイドとの摩擦抵抗が少ないため、飛距離が出やすく糸鳴りも静かです。
一方で、4本編みは一本一本の原糸が太いため、摩耗に対して比較的強いという特性があります。磯場など、常にラインが岩に触れる可能性がある過酷な場所では、あえて4本編みを選ぶアングラーも少なくありません。しかし、現在の主流はやはりスムーズな操作性の8本編みです。
初めての購入であれば、まずはキャスト性能が高くトラブルの少ない8本編みを選んでおけば間違いありません。価格は4本編みよりも少し高くなりますが、その分だけ快適なキャストフィールを得られ、集中して釣りを続けることができるでしょう。
ラインの強度(lb・ポンド)の考え方
号数とともに表記されているのが「lb(ポンド)」という単位で、これはラインがどれだけの重さに耐えられるかを示しています。1lbは約450gですので、20lbであれば約9kgの負荷まで耐えられる計算になります。ただし、これは結束部(ノット)を除いた直線での強度です。
ショアジギングラインでは、1.5号で大体25lbから30lb程度の強度があるのが一般的です。魚の重さだけでなく、激しい突っ込みによる衝撃荷重も考慮しなければなりません。また、ノットの部分で強度が落ちることも計算に入れる必要があります。
理想は、ターゲットの最大重量の数倍のポンド数を持たせることです。強度の高いラインを使うことで、強引なファイトが可能になり、魚を根に潜らせないような主導権を握ったやり取りができるようになります。スペック表を見る際は、号数とポンド数の両方を確認しましょう。
ショアジギングに適したショックリーダーの役割

PEラインの弱点を補うために欠かせないのが「ショックリーダー」です。メインラインの先に数メートル接続するこのリーダーの選び方次第で、獲れる魚の数は大きく変わります。ここではショックリーダーの種類と、その重要性について詳しく見ていきましょう。
リーダーの素材はフロロカーボンが基本
ショアジギングにおいて、リーダーの素材として最も信頼されているのがフロロカーボンです。この素材は根ズレに非常に強く、水中で目立ちにくいという特徴があります。岩場やテトラポッドが多いエリアでは、フロロカーボンの硬さと耐摩耗性が大きな武器になります。
また、フロロカーボンは比重が高いため水に沈みやすく、ルアーを素早く沈める際にも貢献します。感度も高いため、メインラインであるPEラインの長所を殺さずに、海中の情報を正確に伝えてくれる優れた素材です。
一方で、素材が硬いため結束が少し難しいという面もあります。しかし、大物とのやり取りにおいて最もラインが傷つきやすいのは先端部分ですので、そこを保護する役割として、フロロカーボンは最も理にかなった選択肢といえるでしょう。
ナイロンリーダーを選択するメリット
フロロカーボン全盛のショアジギングですが、あえてナイロンリーダーを選ぶ場面もあります。ナイロンの最大の特徴は、その「しなやかさ」と「適度な伸び」にあります。ラインが伸びることで、魚がルアーにバイトした際の弾きを抑え、フッキング率を高める効果が期待できます。
また、素材が柔らかいためノット(結び目)が作りやすく、PEラインとの結束も強固になりやすいのが利点です。トップウォータープラグを使って水面で魚を誘う場合、沈みにくいナイロンの方がルアーの動きを邪魔せず、自然なアクションを出しやすくなります。
強引なやり取りが必要な場面ではフロロカーボンに軍配が上がりますが、食い込みの良さを重視したり、プラグの操作性を高めたい場合にはナイロンリーダーが非常に有効です。状況に合わせて使い分けられるようになると、釣りの幅が大きく広がります。
リーダーの太さと長さの決め方
リーダーの号数は、メインラインであるPEラインの強度(lb)と同等か、あるいは少し太いものを選ぶのが一般的です。例えば、PE1.5号(約30lb)を使っているなら、リーダーは30lb(8号前後)から35lb(10号前後)を基準に調整します。
長さについては、一般的には1.5メートルから2メートル(矢引きから一尋程度)が標準的です。これはキャスト時に結束部分がリールの中に入らない程度の長さです。ただし、磯場などの根が荒い場所では、魚が潜った際にメインラインが岩に触れないよう、3メートルから5メートルと長めに取ることもあります。
リーダーが長すぎるとキャスト時にガイドと結束部が干渉し、トラブルの原因になります。逆に短すぎるとショックを吸収しきれず、合わせ切れを起こすことがあります。まずは自分の身長の1.5倍程度の長さから試してみて、使いやすい長さを探してみるのが良いでしょう。
メインラインとの結束ノットの重要性
どんなに良いショアジギングラインを揃えても、PEラインとリーダーの結び目が弱ければ全てが台無しです。ショアジギングでは、非常に大きな負荷がかかるため、摩擦系ノットと呼ばれる強力な結び方を習得することが必須となります。
代表的なものは「FGノット」です。この結び方は結束部が非常にスリムで、ガイドをスムーズに通り抜けるため飛距離への影響が少なく、それでいて強度は抜群です。最初は練習が必要ですが、自宅で完璧に結べるようになるまで練習する価値は十分にあります。
現場で素早く結びたい場合には「PRノット」などの専用ツールを使う方法もあります。どの結び方を選ぶにしても、最後に思い切り引っ張って抜けや破断がないか確認する習慣をつけましょう。ここを怠らないことが、確実に魚をキャッチするための第一歩です。
ターゲットと釣り場に合わせた具体的な号数設定

ショアジギングラインは、狙う魚のサイズや釣り場の状況によって、最適なスペックが異なります。画一的な選び方ではなく、自分のシチュエーションに合わせることで、より効率的でストレスのない釣りが可能になります。ここでは、よくあるシーン別の使い分けを解説します。
ライトショアジギング(20g〜40g)の目安
防波堤や足場の良いサーフから、30cm〜50cm程度のイナダ(ハマチ)やサバ、サゴシを狙うライトショアジギングでは、操作性と飛距離のバランスが重要です。この場合、メインラインのPEは0.8号から1.2号が最も使いやすい設定となります。
この太さであれば、軽量なメタルジグでも遠くまで飛ばすことができ、潮の流れが速い場所でもラインが流されすぎずに済みます。リーダーは20lb(5号)から25lb(6号)程度を接続しておけば、50cmクラスの青物であれば十分に余裕を持って取り込むことが可能です。
ライトなタックルであればあるほど、ラインの太さが操作感に直結します。細いラインは不安に感じるかもしれませんが、最近のPEラインは非常に強度が高いため、ドラグ(負荷がかかった時に糸を出す機能)を適切に設定していれば、そう簡単に切れることはありません。
本格的なショアジギング(60g〜100g超)の設定
地磯や急流のポイントで、5kgを超えるブリやカンパチ、ヒラマサを狙う本格的なショアジギングでは、強度が最優先されます。使用するPEラインは2.0号から3.0号をベースに、大型が期待できるエリアでは4.0号以上を使用することもあります。
このクラスの魚になると、一度の突っ込みで数十メートル走られることもあります。そのため、強度はもちろんのこと、リールに巻くラインの長さも200メートルから300メートルは確保しておきたいところです。リーダーも40lb(12号)以上を使い、パワーファイトに備えます。
重いジグを力いっぱいキャストするため、指への負担も大きくなります。太いラインは指に食い込みやすいため、グローブなどの保護具も併用しながら、安全にキャストを楽しめるようなセッティングを心がけましょう。信頼できるラインシステムが、強気のファイトを支えてくれます。
堤防・砂浜・磯場でのフィールド別選択
釣り場の足場や水深も、ライン選びに影響を与えます。例えば砂浜(サーフ)であれば、障害物が少ないためラインを細くして飛距離を稼ぐメリットが大きくなります。一方で、磯場では魚をかけた後に岩に擦れるリスクが常にあります。
磯場では少し太めのPEラインを選び、リーダーを通常よりも長めに(3メートル以上)取ることで、岩に擦れた際の大惨事を防ぎます。堤防は足場が高いため、抜き上げ(タモを使わず魚を持ち上げること)を想定して、少し余裕のある強度設定にしておくと安心です。
また、風が強い日が多いエリアでは、PEラインの編み数が少なくコシがあるタイプの方が、風に煽られた際の糸絡みトラブルを防ぎやすくなります。行く予定の場所がどのような環境なのかを事前に把握し、最適な準備をしておきましょう。
不意の大物に備えるライン強度の考え方
ショアジギングの醍醐味は、時として想定外の巨大魚がヒットすることです。中小型を狙っていたのに、突然メーター超えのブリがかかることも珍しくありません。このような「不意の一撃」に備えるには、自分のタックルが許す範囲で最大限の強度を持たせておくのが賢明です。
単純にラインを太くするだけでなく、ライン自体の品質にこだわることも一つの防衛策です。高品質なプレミアムPEラインは、同じ号数でも引張強度が安定しており、長時間の使用でも劣化しにくいという特徴があります。
また、リールのドラグ性能を信じて、限界まで細いラインで勝負する楽しさもありますが、初心者のうちは「切られないこと」を重視した設定をおすすめします。一匹の価値が大きい釣りだからこそ、後悔しないための余裕を持ったシステム構築が重要です。
ターゲット別推奨ラインセッティング例
・小型青物(サバ、アジ、メッキなど):PE0.6〜0.8号 + リーダー12〜16lb
・中型青物(イナダ、サゴシ、ショアダイなど):PE1.0〜1.5号 + リーダー20〜30lb
・大型青物(ブリ、カンパチ、ヒラマサ):PE2.0〜4.0号 + リーダー40〜80lb
ライン性能を維持するためのメンテナンスと交換

ショアジギングラインは消耗品ですが、適切なメンテナンスを行うことで、その寿命を延ばし、本来の性能を長く維持することができます。特に塩分を含む海水での使用はラインへのダメージが蓄積しやすいため、日頃のケアが非常に重要になってきます。
釣行後の水洗いによる塩抜きは必須
PEラインは極細の繊維を編み込んでいるため、繊維の隙間に海水が入り込みます。そのまま乾燥させると塩の結晶が残り、次に使う際にガイドとの摩擦が増えたり、繊維を傷つけたりする原因となります。釣行後は、スプールごと真水でしっかりと洗い流すのが基本です。
シャワーなどで水をかける際は、ドラグをしっかり締めて内部に水が入らないように注意しながら、表面だけでなく内部まで真水が浸透するように時間をかけて行いましょう。余裕があれば、ぬるま湯にスプールごと数分間浸けておくと、より効果的に塩分を抜くことができます。
塩抜きを怠ると、ラインの強度が低下するだけでなく、リールのスプール本体の腐食(サビ)を招くこともあります。せっかくの道具を大切に使うためにも、帰宅後の5分程度の水洗いをルーチンワークに組み込んでみてください。
ラインコート剤による保護と飛距離向上
洗浄して乾燥させた後のラインには、専用のコーティング剤(シリコンスプレーなど)を吹き付けるのが効果的です。コーティングを施すことで、ライン表面の滑りが良くなり、ガイド摩擦が軽減されて飛距離が伸びるという嬉しいメリットがあります。
また、コーティングの膜が水や汚れの侵入を防ぎ、PEラインの吸水を抑える効果もあります。吸水したPEラインは重くなり、操作性が落ちるだけでなく劣化も早まります。コーティング剤を使用することで、まるで新品のような指通りが長続きします。
スプレーする際は、スプールの隙間からライン全体に馴染むようにまんべんなく塗布しましょう。釣行の直前ではなく、前日に吹き付けて乾かしておくと、よりしっかりと定着して効果を実感しやすくなります。これも釣果を伸ばすための一工夫です。
巻き替え時期を見極めるチェックポイント
ラインはいつか交換しなければなりませんが、そのタイミングを見極めるのは意外と難しいものです。一つの目安として、ラインの表面が毛羽立ってきたら交換の合図です。指でなぞってみて、ザラザラした感触がある場合は、強度が著しく低下している可能性があります。
また、色落ちが激しくなった場合も注意が必要です。PEラインの色は原糸自体に染み込んでいるわけではなく、表面のコーティングと一緒に落ちていきます。色が薄くなっているということは、コーティングが剥げて繊維が露出している証拠です。
大物とのやり取りの後や、激しい根ズレを経験した後は、目に見える損傷がなくても思い切って交換することを検討しましょう。不安を感じながら釣りを続けるよりも、新品のラインに巻き替えて万全の状態で挑む方が、精神的にも良い結果に繋がりやすくなります。
ラインを裏返して使う「逆巻き」の節約術
PEラインは150メートルから200メートル巻いてあることが多いですが、実際にキャストで使用するのはその半分程度です。スプールの奥にあるラインは、ほとんど使われずに新品に近い状態を維持しています。これを利用して、ラインを前後逆に入れ替える「逆巻き」が可能です。
これにより、一つのラインを実質的に2回新品同様のコンディションで使用できるため、コストパフォーマンスが非常に高くなります。やり方は、空のスプールに一度巻き取り、さらに別のスプールに移し替えることで、使っていなかった部分を先端に持ってくることができます。
ただし、逆巻きをする際はラインの総量が減っていないか、途中に結び目がないかなどをしっかり確認しましょう。ショアジギングはラインへの負荷が大きいため、2〜3回釣行したら逆巻きにする、といった自分なりの基準を作っておくと、常に良い状態を保つことができます。
ラインの管理のために、リールを購入した際の箱やシールに「巻き替え日」と「号数」をメモしておくと非常に便利です。どのくらい使ったかが一目で分かり、次の買い替え計画が立てやすくなります。
ライントラブルを最小限に抑えるためのテクニック

ショアジギングにおいてライントラブルは、釣りの時間を奪う最大の敵です。特にPEラインは柔らかく風に弱いため、一瞬の油断で「ぴょん吉(スプールからの糸浮き)」やガイド絡みが発生します。これらを防ぐための実践的な工夫を紹介します。
スプールへの適切な巻き量とテンション
新品のラインをリールに巻く際、欲張ってパンパンに巻いてしまうのはトラブルの元です。スプールの縁から1〜2ミリ程度の余裕を持たせて巻くのが理想的です。多すぎるとキャストした際に一気に糸が出てしまい、バックラッシュ(糸絡み)を引き起こします。
また、巻く時のテンションも重要です。ゆるゆるの状態で巻いてしまうと、使用中にラインが奥に食い込んだり、放出時にムラができたりします。適度なテンションをかけながら、密に綺麗に巻き上げることで、スムーズな放出が可能になります。
お店で巻いてもらうのが一番確実ですが、自分で巻く場合は濡れたタオルなどでラインを挟み、適度な抵抗をかけながら巻くようにしましょう。最初の「巻き」が、その後のトラブルの少なさを決定づけると言っても過言ではありません。
キャスト後の糸ふけ(スラッグ)の管理
ショアジギングで最もトラブルが多いのは、キャストしてルアーが着水した直後です。風でラインが大きくたわんだ状態で巻き始めると、スプールにゆるいラインが巻かれてしまい、次のキャストでトラブルが発生します。これを防ぐのが「糸ふけの回収」です。
ルアーが着水する直前にスプールに軽く指を添えて放出を止める(フェザリング)を行い、着水と同時に素早くリールを巻いて糸のたるみを取りましょう。ロッドを立てて、ラインをピンと張った状態からシャクリ始めるのが基本動作です。
特に向かい風の時は注意が必要です。ラインが風に流される前に素早く水面につけ、抵抗を利用して巻き取ることで、スプールに綺麗にラインを収めることができます。この一連の動作を体に覚え込ませることが、ノートラブルへの近道です。
ガイド絡みを防ぐためのロッドワーク
激しくロッドを振るショアジギングでは、ティップ(穂先)にラインが絡む「穂先絡み」もよく起こります。これを防ぐコツは、常にラインにテンションがかかっている状態を維持することです。アクションの合間に不自然な「間」を作らないことが大切です。
もし絡んでしまった場合は、無理にリールを巻かず、落ち着いてロッドを振るか手で解きましょう。強引に巻くとラインが傷つくだけでなく、最悪の場合は穂先が折れてしまうこともあります。また、ガイドが汚れていると摩擦で糸が絡みやすくなるため、釣行前のガイド清掃も有効な対策です。
最新のロッドには「Kガイド」など、糸絡みを自動的に解除するような設計がなされているものも多いですが、それでも限界はあります。丁寧な操作を心がけることで、大切なロッドとラインを保護し、快適に釣りを続けることができます。
指の保護と飛距離のためのフィッシンググローブ
ショアジギングラインは非常に細くて強いため、キャストの瞬間に指にかかる負担は相当なものです。素手のままだと指を深く切ってしまう恐れがあり、それを恐れてキャストが中途半端になると、飛距離も伸びずトラブルも増えます。
そこで必須となるのが、フィッシンググローブやフィンガープロテクターです。人差し指を保護することで、全力でのフルキャストが可能になり、飛距離が劇的に向上します。また、指先が滑りにくくなるため、キャストの精度も高まります。
安全面からも、ショアジギングを始める際は必ずグローブを準備しましょう。指の痛みを感じずに釣りに集中できる環境を作ることは、長時間の釣行において大きなメリットとなります。細部へのこだわりが、結果として大きな釣果に結びつきます。
ショアジギングラインのカラーとマーキングの役割

釣具店に行くと、色鮮やかなショアジギングラインが並んでいます。これらの色は単なるファッションではなく、釣りを有利に進めるための重要な機能を持っています。自分にとって最適な色を選ぶための視点を確認しましょう。
アングラーからの視認性がもたらすメリット
ライン選びで最も重視すべきカラーのポイントは、自分からの見えやすさ、つまり「視認性」です。ショアジギングでは、ラインがどこに向かって伸びているか、どの程度風に流されているかを把握することが非常に重要です。
蛍光イエローやオレンジ、明るいピンクなどの膨張色は、薄暗い朝マズメや夕マズメの時間帯でもはっきりとラインの軌跡を捉えることができます。ラインが見えることで、ルアーの位置を把握しやすくなり、根掛かりを回避したり、魚のアタリを目で捉えたりすることが可能になります。
特に隣のアングラーとの間隔が狭い混雑した堤防などでは、自分のラインが見えないと、周囲とのオマツリ(糸同士の絡まり)を招く原因にもなります。周囲への配慮という意味でも、視認性の高いカラーを選ぶことは大きな意義があります。
水中の魚から見たカラーの影響
「派手なラインは魚に警戒されるのではないか?」と心配される方もいるかもしれません。しかし、ショアジギングではメインラインの先に数メートルの透明なリーダーを接続するため、PEラインの色が直接的に魚の食いに影響することは稀です。
魚はルアーとその周囲の動きに集中していることが多いため、数メートル離れた場所にあるPEラインの色まで気にするケースは少ないと考えられています。それよりも、ラインが見えないことによる操作ミスの方が、釣果を下げる要因になりかねません。
ただし、水が非常に澄んでいる場所や、魚の活性が極端に低い状況では、目立たないステルスカラー(グレーやダークグリーンなど)が好まれることもあります。自分の通うフィールドの透明度に合わせて、視認性とカモフラージュのバランスを考えてみるのも一つの楽しみです。
飛距離と水深を把握するためのマーキング機能
ショアジギングラインの中には、10メートルごとに色が変わる「マルチカラー」タイプがあります。これはもともと船釣りで水深を測るためのものですが、ショアジギングにおいても非常に便利な機能を発揮します。
まず、自分がどのくらいルアーを飛ばせているかを正確に知ることができます。「今は100メートル飛んだ」「あの潮目は80メートルの位置にある」といった情報を数値として把握できるため、釣りの再現性が高まります。また、足元までルアーが戻ってきたタイミングも色で判断でき、ピックアップ時のミスを防げます。
単色ラインの方がスッキリして好みという方も多いですが、データの蓄積を重視するのであれば、マルチカラーラインは強力な武器になります。特に初心者の方は、自分がどの程度の範囲を攻略しているのかを知るために、一度使ってみることをおすすめします。
タチウオやサワラ対策としてのカラー選択
特定のターゲットを狙う場合、ラインのカラーが「仇(あだ)」となることもあります。例えば、歯の鋭いタチウオやサワラは、ラインのマーキング(色の変わり目)や、キラキラ光る白いラインを餌と間違えて噛みついてくることがあります。
これを「カッター(ラインを切られること)」と呼び、高価なメタルジグごとラインを失う痛い経験になります。これらの魚が多いエリアや時期には、あえて目立つマーキングがない単色ラインや、水に馴染むダーク系のカラーを選ぶのが定石です。
また、ライン自体に噛み跡がつかないよう、リーダーを長めにしたり、ワイヤーリーダーを検討したりする対策も併せて行います。ターゲットの習性を理解し、それに適したラインカラーを選ぶことで、無用なトラブルを回避して本命との出会いを増やしましょう。
| カラータイプ | 主なメリット | おすすめのシーン |
|---|---|---|
| 単色(蛍光系) | 視認性が抜群でトラブル防止 | 朝夕のマズメ時、混雑した釣り場 |
| 単色(ダーク系) | 魚に警戒心を与えにくい | 澄み潮時、ハイプレッシャー下 |
| マルチカラー | 飛距離や水深が正確に分かる | 地形把握を重視するスタイル |
| 単色(白・シルバー以外) | タチウオ等による切断を軽減 | 歯の鋭い魚が多い時期やエリア |
ショアジギングライン選びで最高の釣果を手に入れる
ここまで見てきたように、ショアジギングラインは単なる「糸」ではなく、攻略のための高度な道具です。PEラインの号数選び、リーダーとの組み合わせ、そして日々のメンテナンス。これらの一つひとつにこだわることで、あなたのショアジギングはより洗練されたものになります。
初心者の方は、まずは「PE1.5号・8本編み」と「フロロリーダー30lb」という王道のセッティングから始めてみてください。この組み合わせは汎用性が非常に高く、多くのシチュエーションで安定したパフォーマンスを発揮してくれます。慣れてきたら、自分の通うフィールドに合わせて少しずつ微調整を加えていきましょう。
最後に重要なのは、自分の選んだラインを信じて使い切ることです。万全の準備を整えたラインシステムがあれば、不意に訪れる大物とのファイトにも焦らず対応できるはずです。この記事を参考に、自信を持ってキャストできる最高のラインを見つけてください。青物との力強い引きを楽しみ、忘れられない一匹を釣り上げられることを心から応援しています。




